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**♬「好き」って言ってほしくて**
**♬「好き」って聞きたくて**
**♬でもね、そんな言葉より**
**♬君のその手が温かいから**
昨日、蓮に抱きしめられたことを思い出して、朝から布団の中で悶えていた。
(うわぁぁぁぁ!! 思い出しただけで顔が熱い!!)
「お前さ、俺がこんなことするの、誰にでもすると思う?」
「お前だからするんだよ」
昨日の蓮の言葉が頭の中でぐるぐる回る。
(あれって、つまり……そういうことだよね?)
私はちゃんと愛されてるんだよね?
でも——
(……やっぱり、はっきり「好き」って言われたいなぁ)
そんなことを考えながら、スマホを開くと、昨夜の蓮とのやりとりがそのまま残っていた。
『……まぁ、考えとく』
(考えとくって何!?)
(いや、あんなこと言っておいて「好き」って言うの考えるの!? どゆこと!?)
「はぁぁぁぁぁ……」
朝からため息をついて、私は布団を思いっきり被った。
教室に入ると、すぐに友達が寄ってきた。
「ねぇねぇ、最近絢音と蓮、めっちゃイイ感じじゃない?」
「え、そ、そう?」
「いや、昨日の昼休みの屋上で抱きしめられてたの見たんだけど!」
「は!? み、見てたの!?」
「見てたよ、ってか、ほぼ全校生徒知ってるレベル」
「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!」
私は机に突っ伏した。
「で? で? そのあとどうなったの?」
「……どうもなってない」
「うっそ!? いやいや、普通に告白的な流れでしょ!」
「……なんか、考えとくって言われた」
「えぇぇぇぇぇ!?」
「だからさ、結局私って蓮にちゃんと好きって思われてるのかなって……」
友達が思いっきりため息をついた。
「絢音、あんたほんっとネガティブすぎ!」
「だ、だって……」
「もういいから、本人に聞きなさい!」
「む、無理……」
「はぁ……」
呆れられながらも、私はモヤモヤした気持ちのまま授業を受けた。
「おい」
帰ろうとすると、後ろから蓮に呼び止められた。
「え、なに?」
「ちょっと、来い」
「え、えぇ?」
蓮は私の腕を引っ張って、人気のない廊下へ。
「……何?」
「お前さ、また考えすぎてんだろ?」
「え、な、なんで……」
「顔に書いてある」
「っ……!」
バレてる……!!
「そんなに言葉がほしいのか?」
「……そりゃ、まぁ……」
蓮は少し困ったようにため息をついた。
そして——
「……好きだよ」
「……え?」
「だから、好きだって言ってんの」
「え、ちょ、もう一回言って……」
「言わねぇ」
「えぇぇぇぇぇ!!」
顔が一気に真っ赤になって、頭がパンクしそうだった。
「……お前は俺の彼女なんだから、そんなことで悩むな」
「……っ、だって……」
「ったく……」
蓮はポケットからスマホを取り出すと、私のLINEを開いて打ち込んだ。
——『好き』
「え?」
「言葉がほしいなら、これでいいだろ」
(いやいやいやいや!!!! そういうことじゃなくて!?!?)
「それって……カンチガイじゃないよね?」
「は?」
「その……ノリとかじゃなくて……」
蓮は呆れたようにため息をつくと、私の頭をぽんっと軽く叩いた。
「アホすぎ」
「えぇぇぇぇ!? Σ(゚Д゚)」
「言っただろ? 俺はお前だから、こういうことするんだって」
「……っ!!」
心臓がもう爆発しそうで、私は思わず蓮の服の裾をぎゅっと掴んだ。
「……もう一回、言ってくれるまで離さない」
「……っ、お前ほんっとめんどくせぇな」
そう言いながらも、蓮は苦笑して、ポツリと呟いた。
「好きだっての」
(もう無理無理無理無理!!!!)
私は蓮の腕を思いっきり引っ張って、ぎゅっと抱きついた。
「……あーもう、知らない!!」
「はいはい」
蓮は私の頭をぽんぽんしながら、小さく笑っていた。
**♬「好き」って言ってくれた君の声が**
**♬私の胸に響いて消えないの**
**♬もう疑わないよ だって**
**♬こんなにも近くにいるから**
やっと、ちゃんと「好き」って言ってもらえた。
こんなに嬉しくて、幸せな気持ちになれるんだって、初めて知った。
(もう、ネガティブにならないようにしよう)
……たぶん。