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「ちょっとだったらバスボム入れたお湯飲んでも大丈夫だよニコッ」
「ほんとっ…?」
「…多分」
「えぇぇっ」
俺がなにか言う度に、一喜一憂する蜂楽を見ると、愛おしくてたまらなくなる。
「救急車に運ばれちゃうかもなー (嘘) 」
「ふぇっ(´;ω;`)」
ついついからかってしまい、蜂楽が泣き出す。
やってしまったと思い、蜂楽をひざの上に乗せて背中を優しく叩く。
「嘘だよー、ごめんね?」
「うっ…(´;ω;`)」
「もし本当になにかあっても、世っちゃんがすぐに助けてあげるから大丈夫!ニコッ」
「うわぁぁん(´;ω;`)」
「世っちゃん信じれない?」
泣きじゃくる蜂楽に優しく話しかける。今の俺ができるのはそのくらい。
小さい子供を泣かせてしまったりなんてことは今までしたことがなかったからあやし方がわからないんだ。
「世っちゃん、信じれるよッ俺!(´;ω;`)」
蜂楽が涙を拭いながら答える。
「そう?世っちゃんのこと許してくれる?」
「うんッ ギューッ」
俺を抱きしめながら答える蜂楽を俺も抱きしめる。
「よし、そろそろ上がろっか!」
「はぁいっ!グスッ」
まだ少し泣きながらも、元気に答える蜂楽を見ると「からかいすぎたせいで泣かせてしまった」という罪悪感が増す。
【洋服着てドライヤーしてリビングにいる】
「廻くん夜ご飯なに食べたい?」
「…パイナップルの缶詰…」
予想の斜め上の回答に少し驚くが、さっき泣かせてしまったため拒否するわけにもいかない。
それでも流石にパイナップルを主食にするわけにはいかないため、俺はもう一度問いかける。
「パイナップルの缶詰はデザートで食べよう!他になにが食べたい?」
「んー…世っちゃんの好きな食べ物食べたい!俺白ご飯食べればいいよ!」
俺にはわからない。泣かされた相手に合わせる理由が。
子ども故の純粋さからなのだろうか。
「じゃあ…塩鮭でもいい?」
「うんっ!いいよっ!!ニパーッ」
蜂楽の笑顔を見ると、懐かしくて、幸せで、でも苦しくなる。
この笑顔を守れなかった自分に嫌気が差す。
「世っちゃん…?俺お腹へったぁ…」
蜂楽がお腹をさすりながら少し小さい声で言う。
その声にはっとして立ち上がる。
「コンビニ行ってくるから、お留守番してもらってもいい?」
「嫌っ!!ひとりにしないで…こわい…」
俺の服の裾を両手で握りしめ、震えている蜂楽。
でも、俺の家には今なにもない。
パイナップルの缶詰も、塩鮭もない。他の食材だってなにもないんだ。
「ごめんね。すぐ戻って来るから、いい子で居てくれる?」
「…ッッ絶対、絶対戻って来る?すぐ?」
「絶対、すぐに戻って来るから。待ってて?」
つらそうに悩む蜂楽を見ると、本当に行こうか悩む。
でも、空腹で辛そうにする蜂楽は見たくないんだよ。
「…わ、わかった…でも、絶対帰ってきて!!!すぐに!!」
「…!もちろん!!テレビでサッカーの録画見る?」
「パァァッ 見る見る!!」
そう言い喜ぶ蜂楽に、いってきますを伝える。
「行ってきます!!」
「ぃ、いってらっしゃいニコッ」
俺は後悔してる。蜂楽を一緒に連れて行かなかったことを。