最近、なんだか大和の様子がおかしい。
前までは普通に話してたのに、急にそっけなくなったというか…避けられてる?
──そんなことを考えながら、私は教室の窓際でぼんやりと外を眺めていた。
「千奈、最近ぼーっとしてること多くない?」
クラスメイトの玲奈が、私の顔を覗き込むように言う。
「えっ?そ、そんなことないよ!」
慌てて首を振るけど、玲奈はジト目で私を見つめてくる。
「もしかして、好きな人のこと考えてた?」
「は!?ち、違うよ!!」
……でも、確かに最近、大和のことを考える時間が増えたかもしれない。
◇◇◇
放課後、委員会の仕事を終えて廊下を歩いていると、前から大和が歩いてくるのが見えた。
(よし、普通に話しかけよう!)
そう思って近づくと、大和は一瞬こっちを見て──そっぽを向いて歩き去っていった。
「えっ……?」
さすがに、これはショックだった。
私、何か大和に嫌われるようなことした…?
◇◇◇
帰り道、落ち込んで歩いていると、前から見覚えのある女の子が歩いてくる。
「美桜ちゃん?」
「千奈ちゃん!あれ、元気ない?」
美桜ちゃんは優しく微笑みながら、私の顔を覗き込む。
「ちょっとね……美桜ちゃん、相談してもいい?」
「もちろん!」
私は大和のことを話した。最近、避けられてる気がすること、何か悪いことしたのかなって悩んでること。
美桜ちゃんは少し考えてから、にこっと笑った。
「それ、たぶん大和が悩んでるんじゃないかな?」
「悩んでる?」
「うん。たぶん、”カップルっぽくなりたい”とか、どう接すればいいか分からなくて、不器用に距離取ってるだけだと思うよ」
(……そんなこと考えてたの?)
「じゃあ、私はどうすればいいんだろう?」
美桜ちゃんは少し笑って、「千奈ちゃんが”カップルって何するんだろう”って考えたことある?」と聞いてきた。
「……」
(そういえば、ちゃんと考えたことなかったかも。)
好きって気持ちはある。でも、カップルって、何をするんだろう?
「まずはね、”一緒にいること”が大事なんじゃないかな?」
「一緒に……」
「そう!だから千奈ちゃんから大和を誘ってみるのもアリかもね!」
私はその言葉を聞いて、ちょっとだけ勇気が湧いてきた。
よし、今度大和を誘ってみよう。
**──カップルって何するの?**
その答えを、大和と一緒に見つけられたらいいな。