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kiisって熱愛報道で揉めるのが似合いすぎるんですよ!書くしかねぇよ✍️
⚠️モブ女出しゃばる⚠️
大人になった世一がBMに入ってます
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『ミヒャエルカイザー、映画主演女優と熱愛か』
またか、と呆れつつ週刊誌をパラパラとめくる。今回もどうせデマだろうと、カイザーに片思い中の俺はモヤモヤとしつつも落ち着いていた。
「あぁ、今回に限っては本当かもしれませんね」
「え、」
ネスによると、今回噂されているお相手の女優は、以前ほんの数ヶ月付き合ったことがある、言わば元カノらしい。
今回の件はカイザーから直接聞いた訳じゃないから、詳しくは知らないですけど、と説明してくれた。
(元カノ……)
まぁ、元カノぐらい居るわな。あんなやつ世の女性たちが放っておかないだろうな、と思った。でもやっぱり心に残るのはドロドロとした苦い感情。
カイザーに直接ってわけにもいかないし、まぁ、俺の気持ちは墓まで持ってくつもりだったし、と強がった。
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クソうぜぇ。最近、いつ付き合ったのか忘れてるぐらいの女が、俺の周りをチョロチョロとつけ回っている。こんな女、名前すら覚えてねぇ。
「つか、俺本命いるから」
と、言ってやったが、随分と諦めが悪い様子で、勝手なことを言いふらしているらしい。クソ迷惑。
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ここ最近、カイザーの元カノとの熱愛が出てから、カイザーをまともに見れない。
「おい世一、今夜、」
「あー、ごめん今日予定あって」
カイザーとの関係はサッカー以外ではマシになってきていて、たまにこうして食事に誘い合ったりするようにもなって、今は断っちゃったけど。
でもなんか、さすがにそろそろ罪悪感が……
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「……チッ」
更衣室内に舌打ちが響く。カイザーの熱愛が出て、潔との関係がしばらく上手くいってないらしく。それに伴ってBMの空気が最悪。
「うぅ、胃が……」
「ネス、大丈夫か?」
僕の周りを心配そうに黒名がウロウロしている。
「大丈夫なわけないじゃないですか……」
こんなの胃薬が何個あっても足りない。
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そ、そろそろカイザーとちゃんと話すべきだよな……?あれから必要最低限の会話以外しなくなっちゃったし。BM内の空気が死ぬほど気まづい。
でもあいつと話すってことは、俺の気持ちも言わなきゃいけない訳で……
気分転換に町に散歩に出た。あのまま悩んでたってしょうがないし、諦めもいい加減つかせたい。
帽子を被ってるからさすがにバレないだろうと油断してたのが悪かった。
「バスタードミュンヘンの潔世一よね?ちょっとこっち来てくれない?」
サングラスをかけた、服装は地味目なのに華やかさが隠しきれてない、女の人に呼び止められた。
(あれ?こんな人どっかで)
俺とその女性はとあるカフェに入った。やはり彼女は有名人らしく、カフェの隅の席に座った。
「初めまして潔世一、私はシャルロッテ・マイヤー、聞いたことあるでしょ?」
あぁもちろん、やっぱりこの人がカイザーの元カノの女優だ。サングラスを取ると何度も見返した週刊誌で、見た事のある顔があった。
「えっと、それで用件は……?」
ドイツに来て数年が経つので基本的なドイツ語は喋れるようになった、まだ拙いけど。ふと、世一の喋る言葉は子供みたいだな、とカイザーにバカにされたっけ。そんなことを勝手に思い出して、勝手に悲しくなった。
その女性はにこやかに、でも目の奥は笑っていない、そんな表情で
「カイザーと、縁切ってくれない?」
「……え、」
カイザーと、縁を切る……?そんなの嫌だ、という気持ちが溢れかえった。正直言うと、カイザーのことまだ好きだし、カイザーとサッカーできないなんて嫌だ。
「カイザーは私のモノだから。それに彼、迷惑だって言ってたわよ」
じゃあそれだけ、と言いスタスタと行ってしまった。残された俺は、頼んだ甘いカフェラテを飲み干した。口の中は甘いのに、なんだか苦いような気もした。
迷惑、か。
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いつの間にかもう夕飯の時間。そろそろ帰ろうと足を帰り道に進めた。が、どういうわけか、帰り道偶然にもカイザーに会ってしまった。
バチッと目が合う。
(き、気まづい……!)
意外にも先に口を開いたのはカイザーで、カイザーは
「世一、ちょっと来てくれ」
有無を言わさず、俺が逃げないように腕を引かれて、一緒に帰ることになった。
とぼとぼと、並んで歩く。もう諦めたいのに、こうやって久しぶりに横に並んで歩けていることに、喜んでしまっている自分が居た。
俺の事迷惑なのに、
「……は?」
心の中で思ったことが口に出てしまったらしい。
「誰が誰を迷惑だって?」
カイザーは心底不思議だと言うような顔でこちらを見つめてくる。
「っ、お前が俺のこと迷惑だって!」
なんか、最近たくさんありすぎて、きっと疲れてたんだ。もうなぜ今、俺は泣いているんだろうか。
俺の泣いてるところを見たカイザーはギョッとしたようで、いつもの調子ではなく少し焦ったような感じで
「泣かないでくれ世一……俺はこんなとき、どうすればいいのか分からない……」
そう言いつつも、優しく頬に手を当て涙を指で拭ってくれた。その手つきが優しくて余計に涙が出てくる。
「……俺、カイザーのこと好きだよ」
ふと自然にその言葉が出た。
「お前のこと恋愛の意味で好き、諦められなくてごめん……」
「……は、?」
涙で霞んでた視界を、服の袖で擦ってカイザーの方を見た。これで俺の恋は終わり、そう思ったのに。
カイザーは顔も耳も真っ赤にして俺を見つめていた。
「……え?」
その反応に俺も驚いて声が出た。
カイザーはいつもの調子に戻ったようでククッと笑い、その瞬間、唇に柔らかい初めての感触があった。見つめる先は、これまでにないほど近いカイザーの顔。
カイザーは唇を離したかと思ったらガバッと力強く、もう離さないとでも言うように強く抱き締めた。
「クソ愛してる、世一」
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『BMの皇帝、恋人は潔世一』
今度の週刊誌には大きい見出しに、俺とカイザーのことばかり事細かに書かれていた。もちろん、元カノのことも。元カノは勝手なことばかり言っていたらしく、迷惑だ、というのもそれを言えば引くと思っていたらしい。
「世一ぃ、そんなの見てないでこっち」
カイザーのソファの隣をポンポンとされ、淹れたてのココアを持って隣に座る。カイザーの隣でサッカーの試合見ながら、いつでもキスができる。カイザーはコーヒーを飲んでいるはずなのに、甘い味がした。