「白犬さん、白犬さん。叶えてください__」
そう言うと、〝白犬さん〟は現れて、私達の願いを叶えてくれる。
でも、その代わりに何か大切なモノを、上げなきゃいけないんだって__。
それが、幼い頃のおばあちゃんから教えられたコトだ。
「六っ!早くしないと遅刻するわよ!?」
「ちょ、ママ勝手に入ってこないで!デリカシー皆無!!」
「そんな事言ってる場合か!?」
漫才紛れの会話をしながら、あたしはベットからようやく起き上がる。
ママに、「ご飯冷めるわよっ!!」と急かされながら制服をいそいそと着る。
「そんな急かさないでよ……」
「じゃあもっと早く起きなさい」
「はぁ~い…」
正直ムカつくが、正論なので言い返すことはできない。
こんな感じで、あたしの一日は始まる。
食パンを咥えながら、今日も絶賛登校。
よくある少女漫画なら、「遅刻遅刻ぅ~!」とか言ってイケメンにぶつかるんだろうけど、残念ながらそのイベントは一生現れないだろうな。
イケメンにぶつかることよりも、あたしは口にくわえているパンが落ちないかが、とてつもなく心配。毎回怖いんだよ。
あたしの通っている高校__小鳥高校は、県内でもフツーの偏差値、特に目立ったところもない高校。
ママからは「六には丁度いいわね」みたいなこと言われた。それってあたしがフツーってことですかっ??
まぁそんなことは置いておいて、こんなフツーの毎日(遅刻を除き)では、なんかリスクが足りないと言うかなんというか…。
自他共に認める好奇心旺盛なあたしにとっては、少々物足りない生活。
「あーっ、平凡な生活はもう飽きたーっ!!」
そう、あたしは青空に向かって思いっきり叫んだ。
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