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クリスマスの日

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クリスマスの日

1 - 第1話

♥

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2024年12月18日

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久しぶりに書きます!カイ潔です!

⚠️死ネタです…



──────────────────



仲が死ぬほど悪かった俺たちがようやく付き合って、あと三年になる頃だった。


「…世一?え、おい…世一!」



世一が血を吐いた。


幸いと言っていいのか、試合中ではなく家で起きた。急いで病院へ車を向かわせた。


当の本人は、意外にもケロッとしていて、


「え、嘘!血じゃん!」


吐血なんて初めてだわ、こんな感じなんだ。


などと呑気なことを言っている。


「バカっ、早く行くぞ」



──────────────────


検査のためしばらく入院が必要らしく、入院中世一は、サッカーができないなんて…としょぼくれていた。

あの世一がしょぼくれるなんて珍しい。なんとなくだが、頭の双葉が萎れてるきがした。

しばらくして担当する医師から話があった。

「…残念ですが」

世一の寿命はあと半年らしい。

「…は?」

どういうことだ?世一があと半年しか生きられない?

「そんな冗談だろ…?!何かの間違いだ!」

「カイザー落ち着け、一回座って」

「っ、」

世一は淡々と医師の話を聞いていた。俺は正直、話など聞けていなかった。

どうしてお前はそんなに冷静なんだ。死ぬのが怖くないのか、あと半年しかないのに。



──────────────────



「おい、カイザー遅刻だぞ」


「はぁ、お前運動はおすすめしないって医師にあれほど…」


「俺がサッカーしないであと半年も生きてられると思う?」


世一はいつも通りピッチの上でサッカーをしている。まぁ世一だしな、と納得してしまう自分がいた。


良かった、と安心するがこの光景がいつか見られなくなることに寒気がした。



──────────────────


世一の病状が悪化し始めた。発覚から2ヶ月経った頃だ。


世一のサッカーができる時間が少しずつ減っていくのがわかった。

お前がいないと退屈なのに。


2ヶ月も経つと、いつもの調子はあまり出なくなった。それでも医師からは、この体の状態で運動できるのはすごい、と言われていた。


だが、世一はそんな自分に悔しそうにしていた。


「あと、4ヶ月しかないのに 」


世一のこのボソリと呟いた独り言が、俺の心の奥底に重く留まった気がした。



──────────────────


発覚から4ヶ月


こうなってくると寝込んでいる時間の方が多くなってきていた。そんな世一につられて俺も一緒に寝ることも増えた。


「あー、サッカーしたいな」


寝ていた俺に抱きつき呟いた。


「今からするか」  


「ははっ、無理だよ」


世一は力無く笑った。



──────────────────

 

発覚から半年が経った。


もう季節は冬で、吐く息が白くなるほど寒い日だ。


世界は今日クリスマスらしい。そして、俺の生まれた日。


そんな日に世一が隣にいない。


「Guten Morgen、世一?」


外からボールを蹴る音が聞こえる。


ハッとして、寒さも忘れて玄関を飛び出した。


「カイザー、サッカーしよ!」


「…なにしてるんだ」

 

「はぁ?サッカーだけど…」


世一はさも当たり前かのような顔をしてこちらを見つめてくる。


「そんなことを聞いてるんじゃない、こんなクソ寒い日になんで外にいるんだよ!」


「え〜?まぁまぁいいから!」


久しぶりに元気な世一を見た気がして、つい流されてしまった。


久しぶりにした世一とのサッカーは楽しかった。


この時間がずっと続けばいいのに、と思う反面、今日で終わりなんだな、ということになんとなく気づいてしまった。


──────────────────


サッカーしたあとは、2人で風呂に入って、ケーキを食べて、ベットの中でいろんな話をした。


「げ、もうこんな時間じゃん、そろそろ寝よーぜ」


嫌だ


そう言いかけた言葉が寸前で止まった。嫌だ、なんて俺のわがまま。


「…そうだな」 


「もー、カイザー泣くなよ!寝れねぇじゃん!」


「…泣いてない」


「はいはい、カイザーおやすみ愛してる」


「おやすみ、世一愛してる」


そう言うと世一は満足気に目を閉じた。本当に眠っているだけみたいだった。


体が冷たくなっていくこと以外。




丁度半年の26日に時計が進んだ時のことだった。



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