毎週水曜日と金曜日だけ花屋に向かう。
貴女に逢いに行く
「 早乙女さん 。 」
「 こんにちわ煌くん 」
俺の名前を呼ぶ、貴女は少し照れ臭そうに照れる。
談笑をする。
他愛ない会話がじんわり心を満たす
少し、もう少し、隣に居たい
その欲望が裏目に出たのか外は土砂降りとなった。
「 雨の音 ? 」
晴れの日も、雨の日も、雪の日も、空を知らない貴女は音で判断する。
「 そうみたいですね 、 」
「 傘ある ? 」
簡潔に済まされた俺の荷物には折り畳み傘という女子力高い持ち物は存在しない
「 ないですね 、
もう少し此処で雨宿りしてから帰ります 」
離れたくない
傍にいたい
まだ話していたい
「 少し 、待っていてくれる ? 」
「 え 、あはい 。 」
それなのに何処か行ってしまう貴女は
少し意地悪な小悪魔。
「 あら 、それなら車で送るわよ 」
そんな聞き慣れない声と共に貴女と貴女のお母さんと思わしき人が出てきた。
「 薫の母です 。
天気予報じゃ雨は弱まらないらしいから送っていこうと思うんだけど 、大丈夫 ? 」
「 め 、迷惑で無ければ … 」
早乙女さんはお母さん似かな、
そんなくだらない事を考えて決まってしまった。
車の中は雨の音で煩かった。
その雨音が心音をかき消してくれるそれだけが幸いだった
「 薫 。今がチャンスよ 」
そう言う貴女のお母さん
それを聞いて耳を赤くする早乙女さん
たぶん、この照れを見れるのは俺だけ
その優越感が口角を緩ませた
「 れ 、連絡先教えてくれますか ? 」
振り絞って言った言葉はそれだった。
いつか、知りたいと思った連絡先を先に聞かれてしまった
「 もちろん 。いいですよ 」
繋いだその連絡先は手先からじんわりと熱くなる。
「 私 、メール出来ないんだけどごめんね 、 」
目が見えないのに打てるとかそんな高度なことは出来ないよな
「 電話沢山しましょう 。 」
うんっ、そう弾ける返事に心が溶けていく
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