💙×💛 ※付き合ってます
💙視点
今日は涼ちゃんの家に招かれている。俺が好きそうな料理を作れるようになったから、なんて理由で誘ってくれたが、寧ろ一緒の息を吸いたいという理由でも全然歓迎できる。
家の外に設置されているインターホンを押すと、忙しない足音共に扉が開かれる。
「若井!」
「え…?あ、お邪魔します。」
扉が開くや否や、元気よく名前だけを呼ばれた。困惑する俺を置いて満足気に玄関の奥へと向かっていく背中を慌てて追いかける。
いつもと変わらないリビングに足を踏み入れると、棚の上に置かれている瓶の中に飾られている花が目に付いた。この花はついこの前涼ちゃんにプレゼントしたもので、偽物の花だ。言わば造花というものか。
まさかと思い花瓶の中を覗き込んでみると、案の定水が注がれていた。涼ちゃんらしいな、なんて思っていると、いつの間にか隣に来ていた涼ちゃんが満面の笑みを浮かべていた。
「今日はね、花の調子良いんだ〜!葉っぱの色も良くなったし!」
「涼ちゃん……」
造花だよ、と出そうになった言葉を飲み込む。思い込みだけでここまで楽しめるのも涼ちゃんの良さだとは思う。思うけれど……少し馬鹿過ぎるかもしれない。
「花育てるのって結構楽しいんだね!」
「そうだね、枯れることないからね。」
「え……?」
あまりにも鈍感な涼ちゃんに釣られて思わず言ってしまった。慌てて口を塞ぐのも遅く、驚いた顔をした涼ちゃんがこちらを見ていた。
「涼ちゃんがちゃんと育ててるから、枯れないな〜って、ね!」
我ながら言い訳が苦しすぎる。流石に無理か、と思い涼ちゃんの顔を見た時、暗かった表情がぱっと明るくなった。
「だよね!僕育てるの上手かも!」
「うん…上手だよ。」
嬉しそうにニコニコと微笑む姿が可愛くて、ふわふわとした髪を撫でてしまう。涼ちゃんが気付くまで黙っておこう、そう思って口を閉じた。
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