❤️×💛 ※同棲、付き合ってます
❤️視点
「元貴〜!今日配信するから部屋入ってこないでね!」
リビングのソファに座りながらスマホをいじり、リラックスしている元貴に声をかける。何か新しい趣味を見つけたくて配信に挑戦してみたが、思っていた以上に楽しくてハマってしまった。配信で貰えた投げ銭で元貴に何かプレゼントするなど、かなり充実できている。
「今日もするの?」
元貴の眉が不満気に顰められた。僕とは反対で、元貴はあまりよく思ってないらしい。嫌がることはしたくないけれど、見てくれているファンの人もかなりいるからそう簡単には辞められない。
「うん、ごめんね。少しだけだから!」
そう告げると、何も言わずに顔を逸らされた。多少我慢させてしまう形になるが、その分何か高いものを買ってあげよう、そう思い部屋に戻った。
「みんな〜こんばんは〜!」
配信をつけるや否や、直ぐにコメントが流れていく。最初の頃とは比べ物にもならなくて何処か感動してしまう。
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秋刀魚おでん:涼ちゃーん!今日何食べた? 田中:壁に飾ってある写真かわいい。 ゆいちゃ:いつも髪綺麗で羨ましい……。
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「髪綺麗ー?ありがとー!」
アンチもゼロとは言えないが、褒めてくれるファンの人の方が割合的には多い。
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あああ:髪綺麗ですよね〜!何か秘訣とかあるんですかー?
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「んー…この髪の秘訣か…、洗い流さないトリートメントかなあ……。」
何気ないコメントを読み上げていると、部屋の外で大きな物音がした。配信にもしっかりと音が入っていたようでコメントの流れが一気に早くなる。
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田中:え?誰か居るの?
ぽぽ:同棲……??
たろー:お母さん?
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「えー…っと…同棲じゃないよー!!なんか物倒れちゃったかな?」
一瞬、同棲している事実を言おうと思ったが、以前元貴に言われたセリフが脳裏に過ぎった。「涼ちゃんは口滑りやすいんだから、個人情報には気をつけな。」と。きっと同棲していることも個人情報には含まれる。我ながらよく気付けた、と自画自賛しているとまた部屋の外で物音がした。
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れい:やっぱ人いるじゃんw
貝柱:泥棒とかじゃない?大丈夫?
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「ごめん、ちょっと見てくるね!すぐ戻るから!」
段々と視聴者も疑い初め、これ以上物音を立てられたらバレかねない。配信の画面をオフにし、急いで部屋を出て元貴の元へと向かう。
リビングの扉を開けると、さっきと変わらない様子でスマホを触っていた。
「元貴、あんまり大きい音たてないで。」
ちらりと目線だけを寄越した元貴が、聞き取りずらい小さい声で呟いた。
「……自分の家なのに。」
元貴の言い分には納得が出来る。自分の家なのに物音すら立てちゃいけないのはきっと居心地が悪いだろう。申し訳なさを含んだ声色で、窘めるように元貴へと言葉を紡ぐ。
「そうだよね、後もうちょっとで配信終わらせるから。少しだけ我慢しててほしい。」
「分かった…。」
拗ねた子供のように唇を尖らせる様子に思わず笑い声をあげてしまい睨まれてしまった。
元貴の為にも早めに切り上げよう、と頭の中で終わらせ方を考えながらリビングを出る。
自室の扉を開けた時、後ろから強い衝撃を受けた。油断していた身体には十分な力で、床へと倒れ込んでしまう。背中に走った人の力のような痛みに振り向くと案の定そこには元貴が居た。
「元貴……?」
続こうとは思ってます🫠
コメント
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まじで毎回いい作品しかなくてほんとに尊敬します🥲💗続きまってますᯓᡣ𐭩