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翌日の部活。
いつも通り練習が始まるはずだったのに、今日はなんだか広瀬先輩の雰囲気が違う。
(……なんか、怖い?)
普段からクールな先輩だけど、今日は特に表情が険しくて、後輩たちも少し緊張しているみたい。
「おい、川瀬。」
「は、はいっ!」
川瀬くんが呼ばれ、ビクッと肩をすくめた。
「今日は俺が見てやる。」
「えっ、えええ!?」
私も驚いた。
(広瀬先輩が1年生に直接指導…!?)
普段、先輩はあまり新入生を直接教えたりしない。テニス部には須田先輩(元部長)の影響もあって、後輩指導は優しい先輩たちがメインでやっていたのに…。
「え、えっと…よろしくお願いします!」
川瀬くんが少し緊張しながら返事をすると、先輩は無言で頷いた。
そして始まった練習。
いつもなら和やかな雰囲気なのに、先輩が川瀬くんを指導する空気がピリついている。
「もっと腰を落とせ。」
「はいっ!」
「ラケットの角度が甘い。」
「す、すみません…!」
(え、めっちゃ厳しい…!?)
広瀬先輩、こんなに厳しい指導をするタイプだったっけ…?
明らかに昨日までの空気と違う。
(もしかして…昨日の帰りのこと、気にしてる…?)
そう思った瞬間、先輩と目が合った。
「……。」
無言のまま、すっと視線を逸らされる。
(やっぱり気にしてるんだ!!!)
なんで!?って思いつつ、胸の奥がドキドキする。
もしかして、これって…
――いや、考えすぎかも。
だけど、気づいてしまった。
広瀬先輩が、私と川瀬くんの関係を気にしてるってことを。
(もしかして、少しだけ…嫉妬してたりするのかな?)
そう考えたら、ちょっとだけ嬉しくなった。