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時計の針が午前6時を告げた。
しかし目覚まし時計の音が伝わる前に、くれなは目を覚ましていた。
部屋は薄暗い。曇った空からの光が、カーテンの隙間をすり抜け、淡い灰色で天井を照らしている。
眠い目をこすりながら、くれなはぽそっと呟く。
くれな)……寒い……
くれなは年中寒がりだ。春でも夏でも。
それは不安性からくるものか、それとも――この日を迎える恐れからか。
そう。
今日が「入学の日」だ。
しかも、ヤバいと噂されている…のかは知らんがヤバそうな()――《鳳霊立・異能特化学園》。
くれな)なんであんなとこ、願書出したんだろ……
くれな)……出してないよね? ……誰?
そんな記憶の曖昧ささえ、くれなの日常ではよくあることだった。
けれど、入学証はちゃんと届いたし、「今日、来なかったらあなたの家が共鳴崩壊します」と書かれていたので、行かないわけにはいかない。
くれなは制服に袖を通す。
制服には、奇妙な校章が輝いていた。
くれな)はぁ…遠いなぁ…電車で1時間くらいかぁ…
くれな)じゃ、いってきます……
誰もいない部屋に向かって、つぶやくように告げた。