第二話 事故
ミノル「俺はお前の事助けてやれなかった」
ミノルは絞り出すように声を出した。
楽「……みっちー?…どうしたの?…」
ミノル「きっとその様子じゃお前は分かってないかもしれないけど、昨日の放課、俺と二人で帰っている時、に、」
ミノルの瞳から、涙がこぼれる。
ミノル「あの時、あの時、お前は、お前は、刺されて、」
ミノル「…死んじゃったんだよ…」
昨日の記憶が、今あった事みたいに頭に流れる。
茜色の夕焼けの中、俺は楽と歩いていた。
楽「みっちー、明日は二人で授業サボって、紙飛行機作らない?」
ミノル「良いな、それ✨やろう!」
いつもの日常
今までも、 これからも
ずっとそうだと思った。
俺は馬鹿だ。
突然、刃物を持った男性が走って来た。
そこからはもう、何もかもが一瞬で、
楽が俺を、右側に引っ張った。
ミノル「!?」
その時に楽の胸の辺りに何かが刺さった。
ミノル「楽っ!!」
横目で楽がミノルを見た。ミノルが焦っている。
男性はもう居なくなっていた。
楽は糸がなくなった操り人形みたいに、くずれて
そのまま倒れた。
ミノルが急いでハンカチで、
楽の血を止めようとする。
ミノル「っ楽!救急車呼んだから!!あと少し頑張って!!」
どうしてミノルはそんな顔をしているのだろう。
だんだんと体が寒くなっていくそれと同時に
痛いのも何もかもだんだん感じなくなっている
なにか伝えなくては楽は、そう思った。
楽「……み、…の、る…」
友達になってくれて
ありがとう
楽がそう言っている気がした。
ミノル「……楽?」
楽はもう動かなくなっていた。
体温が、なかった。
ミノル「楽」
無駄だとわかっていても、呼びかける
まるで楽は昼寝しているようだった。
ミノル「起きて」
ミノル「楽」
ミノル「起きてよ」
いくら揺すっても、
呼びかけても、
もう楽は、目を覚ましてくれなかった。
指が寒さのせいではなく、かたかた小さく震えていた。
第三話 楽 の話
楽は目を閉じてから、また目を開けた。
目を開けると、青空が見えた。
そして何故か学校の屋上にいる。
隣にはミノルが居ない。
ミノルがいたような気がしたのに
あれ、何故だろう。
さっきまでの事が思い出せない。
さっきまで青空だったけ?
心の奥底で胸騒ぎがする
けど、気のせいだと、楽は思った。
きっと、授業をサボって、屋上で昼寝をして、変な夢でも見たのだろう。
そう思っていたのに、
ずっと何処かで、何かがおかしいと感じていた。
楽「……そっか、……やっぱり、そうだったんだ。」
そういえば今日、皆から話しかけられなかったな
胸騒ぎの正体にようやく行きついたのだ。
楽「みっちー、俺、多分、幽霊になっちゃったかも」
コメント
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今日は長めです。