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⚠️オール後に書いたので文章ぐちゃぐちゃ。今更直そうとは思わなかったので供養。視点コロコロ変わるけど多分分かるので頑張ってください(他力本願)
ずうっといっしょ!/キタニタツヤ
テセニュ前提:ニュがテセに主導権握らせたくなくて振り回してる感じ(一種のメリバ)
「ニュート!……充電させてくれ。」
「ん…辞めて、ここ魔法省。」
ぐいぐいと胸を押し返すニュートから眉を下げては離れる。彼のこの素っ気ない態度で自分はまたすり減った。
そこからダラダラと話をしていればニュートは魔法省の時計を見て肩を落とす。
「あぁ、もう…兄さんの所為で夜遅くなっちゃった。」
また自分のせいでニュートが帰れなくなった。
「…家、泊まるか?」
「……そうしようかな。」
“英雄”として”局長”として居なければならない。ニュートの前では”完璧な兄”で居なければならない。
「ぼく、ておとはずっといっしょ!」
「そうだな!僕らはずーっと繋がっていよう。」
かつて交わしたそんな会話に口元を歪めた。
今になっては消耗戦でしかないと言うのに。
ニュートは肩書きを沢山持つテセウスを避け始めていた。避けられているテセウスはそれでも尚ニュートのことを気にかけ寄り添い、抱擁を求め、手紙を飛ばす。ニュートはそんな兄がウザかった。嫌いでは無いけれど…鬱陶しさを感じていた。
学生時代が被ることは無かったがテセウスは”ニュートの見本になるように”と学業に勤しみ主席を取り、監督生になり、クィディッチのキャプテンになりと引っ張りだこな学生生活を送った。
対してニュートは”あのテセウス・スキャマンダーの弟だ”なんて勝手に期待を抱かれその期待に上手く応えられず落胆され続けていた。挙句の果てにはホグワーツを退学させられる始末。
ただただ互いに足を引っ張りあったアオハルにいい思い出なんて1つも無かった。
そんな沈殿した思い出の中でもニュートはテセウスが居ることを当たり前だと思っていたのだ。いくら拒絶しても手紙が途絶える事は無いし見つかると必ず抱擁を求められる。それが当たり前だと思っていた。それこそ昔に言った「ずっといっしょ!」が具現化されたような、そんなものだった。
授業中にも誰からも見られて居ない気がして自分の存在なんて無いものにしていた。それでも彼だけは__テセウスだけは僕を存在する人として見てくれてた。だけどそんな彼をシニカルな笑いを含んだ顔で接して断ち切る。それなのに昼になるとテセウスに会えるかとソワソワする自分の身体を抑えて期待しないようにしてきた。
そうやって守ってきた孤独もテセウスによってめちゃくちゃになった。
ニュートは半ば死にたい気持ちで生活を送っていた。魔法動物達に時間をかけすぎて睡眠も食事も疎かにしていつ死んでもおかしくない状態を辛うじて生きていた。そんな中呼ばれた魔法省。嫌な予感を胸に抱きつつも赴くと生憎見知った顔がニュートを捉えた。少し目を丸めた瞬間表情を変えて大股で此方に詰め寄っては肩を掴む。
「また睡眠も食事も疎かにしたな?」
ニュートは生気を感じられない顔でテセウスをぼんやりと眺めた。
(今の自分のこんな顔大事にしたいと思えないなぁ……)
霞む思考回路と意識の中テセウスが呼びかける声が脳に響いた。
そのまま意識を手放したニュートはその先を知らなかった。
寝不足と栄養不足で眠ったニュートを自宅のベッドに寝かせた。魔法省でぶっ倒れたニュートを何人もの人が見ていたのでしばらく休暇を取るのは簡単だったがこの現状をどうするかと少し悩んでいた時、ニュートが幸せそうに呟いた。
「てせうす…、こっち……」
昔の夢でも見ているのだろうか。柔らかい表情で眠るニュートを見ては頬を弛めた。
(共に過ごした日々が、ささやかな幸せが、ニュートにとってかけがえのないトラウマにでもなってしまえばいい。)
テセウスは誰にも言えない昏い恋慕の心をニュートに抱えていた。
避けようとするニュートを執拗に構い続けてたのもその為。ニュートに自分から離れることは無理だと思い知らせたかった。
「もう僕に構わないで、僕はもう大人なんだから。」
そう言われた時があった。その時にテセウスは酷く動揺した。兄なのに?ニュートの兄なのに構うことを拒まれた?そんなの誰かが吐かせたバグだよな……?そんな思考が脳に溢れ出た瞬間からニュートへの過干渉を減らした。減らしたが抱擁は求めるし手紙も飛ばす。だけどその頻度を減らしたのだ。本当は今すぐにでもニュートを掻き抱き、この腕から逃げないように閉じ込めてやりたかったのをグッと堪えた。何より、テセウスにとって悪夢は”ニュートの兄で居られなくなること”だったから___。
そんなことを知っていたニュートはほくそ笑む。わざと冷たく接してわざと冷たい言葉を浴びせる。それでテセウスが離れるなんて思わなかったから。離れようとしたら逆に腕を掴んでくるから。テセウスが恐れているのは”僕から完全に拒まれて兄として見てくれなくなること”。それを全力避けるために必死こいて機嫌取りをするテセウスを見ていて悪い気はなかった。テセウスの恋心だって知っていたのだから__。
「テセウスが僕をすきになったのなら…。貴方の一生の後悔として添い遂げてあげる。」
何も無い独りの空間にぽつりと吐いたニュートは不気味に笑みを浮かべた後、テセウスの前に姿を現す。
「ニュートっ、行かないで…くれ……」
そう懇願する兄に冷たい視線を送っては兄に問うた。
「テセウスにとって大切なものって、なあに?」
「……今失くしたそれ。」
ニュートは思い通りの返答に目を細めた。
「僕と間違いを犯しちゃったんだね。取り返しがつかないね?テセウス。」
互いに己の想いを拗らせまくった事に嘲笑しては踵を返す。途端に腕を掴まれる。
あぁ……やっぱりこの人は僕の事を離さないんだそれならば──
──健やかなる時も病める時もグロい履歴の中で__
__ずうっといっしょ。
もうちょっと普通に悲しいことを悲しいと思えるような人間でありたかった。何より、ニュートは”変わり者”として生きてきた。テセウスはあんなにも”普通”に生きていたのに弟であるニュートだけこんなに周りから省かれて”病気”だとも疑われた。ニュートは小さな頃からテセウスと良く歌っていた曲を口遊み、あの長調のチューンに全てを委託して忘れていた_楽になりたかった。
「せいぜい一生懸命に生きてくださいね。」
他人行儀でテセウスに言い放った言葉。彼の前から姿を消そうと、そう心に決めた時に口から突いて出たこの言葉にテセウスは目を丸めた。その後に宥めようとしたのか小さく”あの歌”を歌ったのだ。
彼の前から居なくなるどころかこのまま世界から消えてしまいたかった。あんな歌の言いなりになんてなるものか。それでもテセウスが口遊む歌は心地好くて静かに振り向いた。
(上手く行かないなぁ…。)
ニュートは口元を不格好に歪め眉を寄せテセウスを見遣った。するとテセウスは不気味に口角を弛めてニュートを抱き締めた。耳元に唇を寄せては静かに囁いた。
「ニュートだけ1人で…僕の目を盗んで幸せになろうなんて思うな。」
ニュートは肩を跳ねさせた。思いの外重いその言葉に心臓が締め付けられる感覚を覚えた。
昔はよくテセウスがニュートの髪を乾かしてやっていた。直ぐに怪我をするから腕や手が傷だらけであまり動かすなと言い聞かせた結果がこれだ。そこに嫌悪感なんて全く無かったが。兄弟愛としてこの当時は互いに愛し合っていた。その中でもニュートはホグワーツ退学後にテセウスを避けるようになった時期があった。テセウスを避けてる間何かあったらどうしようと悩みに悩んだ末疲労やストレスからぶっ倒れたテセウスを1番初めに介抱すると言い出したのはニュートだった。意識がハッキリとした時には暖かい風と優しい掌の感覚が頭にあった。
「…目、覚めた?」
「ニュート…?」
「魔法省でぶっ倒れないで。」
「ニュートが心配で…」
「人の心配する前に自分を大切にしろってあれだけ僕に言ってきたくせに。」
「それ……は……」
ぐうの音も出ない。ご最もである。
「でも……、」
「…ん?」
「起きてくれて良かった。」
そう優しく呟いたニュートは乾かしてくれた髪に口付けを落とした。その時に心の中の境界線が壊れる音がした。もうテセウスの兄弟愛は兄弟で収まるほどの大きさじゃ無かった。テセウスははっ、と息を飲んで鏡越しにニュートを見詰めていた。
「「貴方の一生の後悔として添い遂げるよ。」」
完璧な兄が叶わぬ恋をしたように不出来な弟も叶わぬ恋をした。諦めようとしたのに一々意識して気が気でない日々を互いに送り続けた。解けない魔法にかかってしまったように。距離を置こうとしても最終的には兄の腕の中に帰ってきてしまうし距離を置こうとしても最終的には弟を離すまいと腕の中に閉じ込めてしまう。
「もう構わないで」
「もう迷惑をかけるな」
「僕だっていい大人だよ」
「僕だって忙しいんだ」
互いに掛け合った棘のある言葉が度々フラッシュバックする。
「「最低だよ。……だけど、」」
「「一緒に居た時の方が僕らしかったなぁ。」」
互いに別の愛する人が居るというのに諦めきれないこの心に自嘲する。だが、確かに彼を前にした自分とそれ以外だと随分と違ったのだ。それを自覚しているからこそ心が痛んだ、益々馬鹿だと思った。
「ニュートの一生の後悔として添い遂げる。」
「テセウスの一生の後悔として添い遂げてあげる。」
互いに想いを伝えあったのに”兄弟”の壁がそれを妨げる。だからこそ”後悔”にしかならなかった。それでも互いに想う気持ちは本物だったし熱も分け合った。まだ熱を持つ疲れ果てた身体で抱き締め合いながら2人して似たような言葉を吐いた。そして笑い合う。最後の逢瀬に涙を貯める。
「なぁ、ニュート。」
「ん?」
「大切なものって、なんだ?」
「…今失くしたそれ。」
この交遊を最後にもう顔を合わせる事を辞めようと言うテセウスからの提案にニュートは二つ返事で承諾した。そうでも無いと呪いを永遠に引き摺ってしまいそうだったから。そして問われた最後の質問にニュートはテセウスの頬に手を持っていき唇の形をなぞっては目を細めそう答えた。
その夜の事を考えていれば無意識に口が開く。
「アルテミス…」
ポツリと零した愛しい人の名前に、熱を分け合った想っても居ない女性が反応する。
「……誰?その人。」
「そうだなぁ__」
「…テオ、」
まだ火照ったままの身体と整わぬ呼吸のままシーツに身体を沈めては白い天井を見上げ愛しい人の名前を呼んだ。途端に横に居る人影が起き上がっては険しい顔でニュートを見詰めた。
「なぁ、ニュート、それ誰の名前だよ。」
「んっとね__」
「「__僕の愛しい人。」」
「僕と間違いを犯しちゃったんだね。取り返しがつかないね?テセウス。」
妖艶に目を細めてそう言ったニュートを思い出す。
「あぁ、本当に取り返しがつかないな。」
静かに呟いては顔を覆った。
健やかなる時も病める時も。
他の誰かと眠っていても。
お揃いの悪夢で僕らは__
「「ずうっといっしょ。」」