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あぁ、何でこんな事になっているのだろうか。
目の前にはアイスピックを持って、馬乗りで俺に乗っている男が1人。名前は確か流類(ながれ)だったかな。
彼は俺と同じカルト宗教の信者。中でも信仰心の強い信者だ。
「……. 殺すの?それで 」
「僕じゃ殺せないって言うんですか?」
「怒んないでよ、すごく疲れてるんだ」
ずっと死にたくて、だけどそんな勇気も機会も無く生きていた。どうせ碌な死に方はしないだろうと思っていたが、まさか知り合いに殺されるだなんて。
「冷静ですね、今から殺されるかもしれないっていうのに」
「ずっと待ち望んでいたんだ、死ぬ日をね。それなのに何で嬉しくないんだろう、本能ってやつなのかな?」
「そうですか」
彼のアイスピックを持った手は微動だにしない。
「…どうした?早く殺してくれよ」
彼は俺をまっすぐ見下ろす。しばらくして喋り出した。
「貴方で4人目、そして最後の標的です 」
4人目…つまり、彼はもう3人もの人を殺している事になる。狂信者であり殺人鬼か、立派な異常者だな。
「なんで俺を最後にしたんだよ、どうせなら1番最初に殺してくれたっていいじゃないか」
「貴方は都合が悪かったんです。とても面倒くさかった、なので後回しにしたんです」
「いかれてる」
「貴方だってそうでしょ」
なんだって?俺がいかれているって言いたいのか、お前と同じように。
「信仰なんてやめとけと言いながら自分は抜け出せなくなるほど宗教に沼っている。貴方のほうが狂信者という言葉が似合ってますよ」
「…あっそう」
狂信者か。自分がおかしい事くらい知っている。だが、いかれている訳じゃない。
「もう、いいですか?貴方との会話は疲れるので」
「…一発で、確実に殺してくれよ。もし失敗したら、今度は俺がお前を殺しに行くから」
「そうですか」
冷めた目とアイスピックが俺を見つめる。昔から見られる事が嫌いなので、瞼を閉じ死を待つ。
だが、アイスピックはなかなか振り下ろされない。気になって目を開ける。
「ちゃんと見ていてください。ホルス様もそれを望まれる」
次の瞬間、アイスピックが心臓を突き刺した。