コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
今日も今日とてサンタヒーローのお仕事の時間がやってきました。
サンタヒーローは今日も今日とてぐーすかぴーと寝ておりました。
年月とは残酷なものであれだけ可愛いショタだったサンタヒーローはすっかりだらしなく草臥れたおっさんになってしまいました。
「はたらかないはたらきたくないはたらかない~。」
寝言でゴミみたいな俳句を詠んでおりました。
季語すらありません。俳句を舐めているのでしょうか?
才能なし。夏目先生と社会から怒られればいいのに。
夏目先生と社会の代わりにトナカイ娘の双子の妹、カイナがサンタヒーローをビンタしました。
「いったぁ!!!???」
サンタヒーローはほっぺを赤くして起きました。
「寝ているサンタヒーローを起こすには暴力が一番効く。シキ様に教わった。」
シキ様とはサンタヒーローのクソ上司です。
「クソぉ….!!!シキ様めぇぇ….!!!」
理不尽な暴力をくらいサンタヒーローは怒りました。暴力系ヒロインが許されるのはギリ平成までです。
まぁこの世界は《銀世界》なので年号とかハラスメントって概念ないんですけどね。
「それ早めに忘れてくれない?」
ほっぺをパンパンに腫らしながらサンタヒーローが言いました。
「一応手加減はした。本気でビンタすると首が消滅する。」
サンタヒーローをむくりと起こしながらカイナが言いました。
「これは嘘じゃない。純然たる事実。」
カイナの双子の姉、アカハナがサンタヒーローの膝に座りながらそう言いました。
「はぁー転職してぇぇぇ…….。」
サンタヒーローはめずらしく弱音を吐きました。
それはそれとしてサンタヒーロー達は子供達にプレゼントを配る仕事に出掛けました。
カイナは力が強いのでソリを引くのはカイナの役目です。
「ふわぁーねっむ。さっむ。コーヒと酒のみてぇ…..。」
サンタヒーローはそうやって伸びをしました。
サンタヒーローは煙草とヤバい薬はしませんでした。
昔先生に煙草とヤバい薬は関わってはいけないと教わったからです。
「着いた、ここ。」
キキーッとアカハナが急ブレーキをしました。
そこはレンガを雑に組んだ粗末な家でした。
多分子供が一人で作ったのでしょう。
トンネルもありません。
カイナは屋根を拳で殴り穴をあけ家に入りました。
そこにはとてつもなく静かで強い眼をした男の子がいました。
「よぉ、プレゼントを届けに来たぜ。」
男の子は言いました。
「僕の国が欲しい。国を頂戴。」
サンタヒーローはアカハナを見ました。
「この男の子は嘘をついていない。」
どうやら彼は本物で、とてつもない大物のようです。
「国って死ぬほどめんどいぞー。他のモンの方がいいんじゃないか?」
サンタヒーローは知ったような口を聞きました。
「国がいい。他のおもちゃはつまんなかった。友達も大人たちも弱すぎてつまんない。」
男の子は静かに言いました。
「おし、分かった。」
サンタヒーローはニッと笑い
がさごそと白い袋を漁りました。
「ほらよ、王冠をやる。ただの金となんか高い宝石で出来たきれいな王冠だ。国は自分で作りな。なくすなよ。」
ちっちゃな男の子は王冠をサンタヒーローに
被せて貰いました。
ちっちゃな男の子は眼を閉じ、そして眼を開けて言いました。
「恩に着る。」
男の子はめちゃくちゃ思い王冠をかぶり吹雪く雪の中を歩いていきました。
彼は《銀世界》を出て、異世界に渡り、
後にシトラス王国という王国を建国します。
男の子の名前はバルザード一世。彼が自分で選んで自分でつけた彼の名前です。
「んじゃ、次の仕事場いくか。」
「その前に道草食べたい。」
「んじゃブラックファミレスいくかぁ。」
そう言ってサンタヒーロー達はちっちゃい
レンガの家を出ていきました。
(最後まで読んでくださりありがとうございます。)