クリーパーのフードを被った男は、真剣な目をして
皆に見つめられながら射撃場から合計8発の銃弾が響く。そして弾がど真ん中を命中しているのに気が付くと
グルンと振り返り、目をキラキラさせて無言でブンブン
指をさして見て!見て!と訴える、、、が誰も見ていない
それどころか楽しそうに話している。
ゾム
「ねぇ!誰か見てぇ??」
ちょっと大きい声を出して皆がいる方に走ってグイッと
強引に割り込む。皆、俺を見ろよ…
トントン
「ん〜?なぁに?」
流石トントン。慣れてんなぁ…絶対に幼い子供だと思って接してんな??声と表情から分かるわ。
優しい声にふにゃりとした表情はい、許さん。
ロボロ
「おぉ〜どうした〜?」
お前はお父さんか「おぉ〜どうした〜?」ちゃうねん!
俺「誰か見てぇ??」って言ったよな…
コネシマ
「ん〜?」
なんやねん!「ん〜?」って話聞いてないやろ!聞け!
てか、煙草吸うな!臭いわ
シャオロン
「なぁ〜に?」
お前のそういうところ嫌やわ!!
大先生
「ん〜?」
お前もか!お前も煙草吸うな!
ゾム
「的!銃弾がな全部ど真ん中やったの!」
皆の顔を目を見て褒められ言葉を待つが待っていたのは、
トントン
「おーおめでとうな」
コネシマ
「おーゾムやんなぁ〜、流石や」
ロボロ
「サスゾムやな〜」
シャオロン
「おー凄いな」
大先生
「凄いやん」
ゾム
「...絶対思ってないやろ!もっともっとちゃんと褒めろや!もういい!」
両手で服をグシャッと掴み、プクーと頬を膨らませて
タッタッタッとさっていく。チラッと様子を見るとなんでゾムが怒っているのか分かっていないようだった。
「俺が馬鹿みたいやん…」と涙目で溢れそうになるのを
グッと必死で堪える。ただ、褒めて欲しいだけなのにな。
ゾム
「、、、今までの努力なんやねん」
トボトボ歩いて自室に閉じこもるとクリーパーの抱き枕にボブボブ叩き八つ当たりする。
ゾム
「流石で終わらせんな!」
「まぁ、ゾムだしってなんや、、、」
「他の奴らがど真ん中命中したら褒めまくるくせに!」
怒りがフツフツと湧いて止まらないと同時に悲しくて
悔しくて仕方がない。夜遅く皆にバレないように隠れて
訓練してた俺、それは皆に褒めて欲しいという強い執着心だとおもうけど、皆からしたら面倒臭い執着心なのかな?とも思う。勿論、味方最大の脅威の名・脅威の名に恥じぬようにしてたし…他の幹部達に抜かされたくないっていう思いもあったやろうけど、やっぱり皆に褒めて欲しい。
ゾム
「褒めてくれなかったからガン無視したろ」
我ながら餓鬼かコイツ…ダッる、面倒臭い奴と思うし
嫌な奴やな俺とも思う。そんなことより、怒ってしまったことに後悔と無理矢理褒めさせてしまっているようで
とてつもなく申し訳なく思う。謝りに行かんとな…
ゾム
「はァ…ヤダな」
一方その頃____________________
「...」と静まり返る空気と放心状態の幹部達はなぜ、
ゾムが怒っているのか全く分からなかった。
考えても考えても本当に分からない。
トントン
「な、なぁなんでゾムが怒ったか分かる人おる?」
コネシマ
「さぁ?」
大先生
「全く分からん」
ロボロ
「ゾムなんて言ってたっけ?なんか、絶対思ってないやろ的なこと言ってたな…」
シャオロン
「あ〜言ってたな、、、」
大先生
「え〜ちゃんと褒めないってこと?」
コネシマ
「そういうことになるな」
トントン
「ん〜俺達はゾムを褒めてるけど、ゾムからしたら褒めてくれてないのかな」
トントンの言葉に全員が「ん?」となる。
それはそうだ彼らはゾムを褒めているのだから、
だがしかしよくよく思い返すとちゃんと褒めていないのかもしれない。棒読み感?正直ps高いゾムだから当たり前、
まぁ、ゾムだし?と思っていた。褒めていたと思っていたけれど、そりゃゾムが怒るなとココにいる皆が思っていると思う。
コネシマ
「確かにトントンの言う通りかもなぁ…」
シャオロン
「ゾムに悪いことしたなぁ」
大先生
「俺がゾムならもっともっと褒めて欲しいもんな」
ロボロ
「だよな…ps高いからド真ん中命中なんて当たり前だってゾムだしって思ってたわ…長いこと一緒におるけど気づいてあげれんかったというか…」
トントン
「とりあえず、謝りに行くか…」
「「「「賛成」」」」
________
______________________
ゾム
「エミさーん!!」
ドンドンとドアを強く叩くと「うわぁっ!」と驚く声が聞こえ数秒経つと「ゾ、ゾムさん?」と少し困惑しているようだった。
ゾム
「エミさん!聞いて聞いて!」
エーミール
「ハイハイ」
ガチャとドアを開けると勢いよくエーミールに飛びつくとたじろぐ。
エーミール
「ど、どうしたんです?」
ゾム
「エミさん皆がな!?」
怒ゲージMAXのゾムを落ち着かけると本題に入る。
エーミール
「それで?何があったんですか?」
ゾム
「実はな...」
全てのことを話すとエーミールは「え!?ド真ん中命中したんですか!?しかも全ての銃弾を??やっぱり練習したかいがありましたね!私もゾムさんのようになれたらなぁ〜やっぱり練習が必要なんですかね…?俺もゾムさんの集計もしつつ練習しようかな」
と興奮状態でゾムを見つめる。
エミさんを見てると俺を見ているみたいになる。
まさに子供で幼くて褒められて凄い嬉しすぎるけど、
恥ずかしくなる。特にエミさんに褒められるとね。
ゾム
「んふふふw恥ずいわ…」
エーミール
「なんでですか〜?とりあえず迷惑じゃなければゾムさん、私の特訓に手伝ってください!」
ゾム
「迷惑な訳あるか!なんでも教えたる!」
エーミール
「本当ですか!ありがとうございます!」
ゾム
「おう!んじゃ俺、寄るところあるから」
エーミール
「分かりました!いつもの時間に」
ゾム
「了解〜」
射撃場_________________________________
走って射撃場に着くとすぐに準備し練習を始める。
皆に褒めて欲しいその一心で強く面倒臭い執着心で。。
けどどこか可愛らしいと皆が思ってしまう。
褒めてくれるのなら、強くなって役に立てれるのなら
俺はどんな辛い練習も訓練も全部乗り越える、グルッペンの特別特訓だって辛くて苦しくて逃げたくて仕方がなかった、でも1度ボソッと褒められたのが嬉しくてたまらなかった。
ゾム
「あれ...全く的に当たらない」
よしもう一度と思いながら構えて撃つが、全く的に当たらないしド真ん中命中率が下がる。今日は当たらない日と自分に言い聞かせる。
ゾム
「あれぇ…なんでやろな」
こっそりやる意味があるのか?と思い始める。
褒めて貰えなかったという悲しさ、また言ったってどうせ棒読みでまた同じこと言われる。いや、そもそも褒めて欲しい一心と執着心が邪魔をしてる。もっともっと違うことを…コレじゃ皆に迷惑が…グルグルと入り交じる。
ゾム
「手を止めたらアカンな!」
エーミール
「ゾムさん!」
ゾム
「お!エミさん早ない?って…」
トントン
「ゾム…こんな遅くに練習してたん?」
ゾム
「え?う、うん…」
エーミール
「さっきも言ったでしょ?毎日就寝時間すぎにこっそり抜け出してるって」
ゾム
「ん?さっき?」
大先生
「実は最初からおってん…まさか毎日ココで撃ちまくってたん?」
ゾム
「う、うん」
コネシマ
「それより、、、ごめんなゾム」
ゾム
「うぇ?」
コネシマ
「ちゃんと褒めてなくて…ゾムが言った通りやったわ」
シャオロン
「まぁ、ゾムだしって思ってた…でも毎日1人でココに来てたんやね。才能じゃなくて努力だって知った」
ロボロ
「昔からずっとずっと長い付き合いやけど、1人でココに来てるなんてな、、、そりゃゾムに勝てないわ。やっぱり偉いわ流石」
トントン
「就寝時間抜け出してたとは…気づかなかったわ。射撃場に来て練習するのはいいけどちゃんと寝なよ?ゾム、まぁそれがゾムのいい所なんだけどね」
ゾム
「恥ずいわ」
エーミール
「ゾムさん!練習付き合ってください!」
トントン
「俺にも教えて〜!ゾムには負けたくないからな」
コネシマ
「ショッピ君には負けとうない!!やられっぱなしは嫌や!」
大先生
「皆のスターとして輝きたい!射撃苦手なんよね…教えて!」
シャオロン
「コツとか色々教えてゾム先生!」
ゾム
「…俺に任せろ!!」
早朝時間までずっとずっと撃ち続けクテクテになって、
仲良く射撃場で寝たそう。
~完~
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