嘘だと信じたい。
こんな日が来るなんて。
頭脳派でお馴染みの私は頭を抱えた。
どこで道を間違えたんだろう。
そう後悔したってもう遅い。
『理科 小テスト 有栖 夏兎愛 6点』
親に何て言おう。
6年1組、有栖 夏兎愛。二学期早々ピンチです。
「なっちゃ~ん!テストどうだった???」
やめろやめろ。わたしの席に群れるんじゃない。
そんな苛立ちを感じながらも私は答える。
「おーう。見事に1桁」
「嘘だろおまっ𐤔へっ、俺3桁だもんね」
そう言ってテスト用紙をヒラヒラさせるチャラそーな男、神郷 巻汰。
「くっそ、やっぱ巻汰には勝てませんね」
とズタズタな敬語を使う美少女、川崎 環喜。
「おれは夏兎愛よりいいねෆ」
とへらへらと笑う陰キャ。
なんだろう、10点でいばるの辞めてもらっても?
はぁ。修学旅行言ってる場合じゃないって、この点数。
そんなこと思いながらも、平和だなー、って。
「はーい、威張り合いはまた後でね~。ほら野郎ども、さっさと出るぞ」
クラスの担任、みっちーが戦争を沈める。
1時間目体育っていっちゃんだるい。(そして私は運動できない)
外に出てみると、なんという事だ、見事な泥団子日より。
すると誰かが飛び出して土を丸め始めた。
今から体育やぞ、どこのバカだよ。
「おーい、体育始まんぞ。急げー」
土を丸めていた少年は顔を上げた。
高土 学。やっぱりバカだった。
「おーい、夏兎愛、学、何してんだよ。」
と、後ろから巻汰の声。それに続いて環喜と春夏。
「ふ~。じゃあッそろそろッ終わりますかね~ッ」
なんだよこいつ。イカれてんのか。
学は立ち上がり、手を服に擦り付ける。汚ぇ。
「服で拭くなよ」
予想外の答えが返ってきた。
「は?」
「つまんないよー」
「寒い寒い」
「痛ッ痛たたたッ」
「極寒サバイバル」
え、私こんな叩かれる必要ある?しかも無意識に言ったんだけど。
はぁ。と溜息をつくと、先生の場所へと迎う。
今日はサッカーらしい。
巻汰の得意競技やな、全く。
楽しみにしといてやるよ。
出演者
有栖 夏兎愛
川崎 環喜
神郷 巻汰
高土 学
みっちー
夜野 春夏
モブ
学に掴まれた泥
泥を拭かれた服
くそみたいな点数のテスト
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