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【問題】
ある男がレストランで「アルバトロスのスープ」を注文し、一口食べた途端外に出て自らの命を絶ちました。
何故でしょう?
【回答】
雪山で遭難した男たちは、そこでアルバトロスのスープを見つける。
これを食べれば一晩乗り越えることができる。
そう思ったが、どう見ても量が足りなかった。
そこで、元料理人が手持ちの材料を使って人数分の量にすると言った。
男の仲間たちは半信半疑だったが、ほどなくしてその元料理人は人数分のスープを作って仲間に振る舞った。
味は正直、美味しいと言えなかったが何も食べないよりもマシだった。
そして、無事男たちは救助されたのだった。
それから数ヶ月が経ち、男は近所のレストランでアルバトロスのスープが提供されていると知った。
そして、男は「確かめなければならない」と思った。
思い出したくもない、つらい雪山での遭難。
「だが、それでも」と男はレストランを訪れ、アルバトロスのスープを頼んだ。
運ばれてきたスープは、あの雪山で食べたような濁ったスープではなく。
黄金色に澄んだスープだった。
一口食べて、男は気付いた。
それが”本物”のアルバトロスのスープであることに。
美味しかった。
美味しかったが、同時に思い出されたのは、雪山で料理をする元料理人の姿。
あのとき男は元料理人がどうやって人数分のスープを作るのか気になって、こっそりのぞき見したのだった。
そこで、元料理人は登山用の鞄の中から大きなフリーザーバッグを取り出した。
そして、”目が合った”。
元料理人はそれをさらに細かく切り刻み、スープの中に入れたのだった。
あれは、人間だった。
人間の一部だった。
それを、男は本当のアルバトロスのスープを食べて思い出した。
先日、あの元料理人は恋人を殺した罪で捕まった。
しかし、遺体は発見されていないという。
「見つからないはずだ。だって、俺たちが食べたのだから」
食べられなかった残りは、雪山にでも捨てたのだろう。
そのことに気が付いて、男は自らの命を絶った。
─END─