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血が跳ね、空気が凍りつく。結那が膝をつき、息を荒げながらも立ち上がろうとする。
しかし、日哉の笑みは冷酷で、完全に彼女の動きを封じていた。
「結那、無理するな。」
吉田が駆け寄り、結那を抱え起こす。彼女の顔は青ざめており、息がうまくできていない。
「兄さん……何度目だ?」
吉田の目が冷徹に日哉を睨みつける。
「何度でも、だよ。」
日哉は刃を研ぎ直すかのように刀を振る。血を払う動作の中で、彼の目はまるで遊びを楽しむ子供のように輝いている。
「兄さん、やっと来たんだね。お兄ちゃんと遊べるの、楽しみにしてたよ。」
その言葉に、吉田の顔から怒りが滲む。
「……お前が望んでいたものなんて、ただの妄想だ。」
吉田の眼差しが鋭く、冷徹に、日哉を見据える。
日哉が目を細める。
「そんなことを言っても無駄だよ。だって、僕はもう完全に変わっちゃったから。」
その瞬間、日哉が動いた。素早く、息を呑む間もなく刀を振りかぶり、吉田に襲いかかる。
「くっ……!」
吉田は反射的に傘を取り出し、刀を受け止める。金属同士がぶつかる音が響き、激しい衝撃が吉田の腕に走る。
「お前……覚えているか?」
吉田が間を置いて問いかける。
「覚えてるさ、あの時のこと。お前が父親の命令で、僕を殺すと言ったとき。」
日哉の目が一瞬鋭く光る。しかし、すぐに冷静な表情を取り戻す。
「でも今は違う。兄さんを……殺すことが僕の運命だ。」
日哉は再び刀を振りかぶる。
「——運命? お前は何もわかっていない。」
吉田は怒りのこもった声で反論し、そのまま全力で刀を弾き返す。
「俺の手でお前を止める。」
その瞬間、吉田はナイフを持った手をひらめかせて、日哉の腹を切りつける。
「ぐっ……!」
日哉は一瞬怯んだが、すぐにその痛みを克服し、また刀を振りかぶる。
「……そんなに俺を止めたいのか?」
吉田は日哉の言葉に冷徹に答える。
「お前のようなものに、俺の道を壊させはしない。」
激しい戦闘が続く中、結那は一歩下がり、息を整えようとする。彼女のには、戦いがどんどん過熱していく様子が映っていた。
「師匠……」
結那の声はわずかに震えていたが、彼女は吉田の背中を見つめながら決意を固める。
「頼んだ、吉田さん。」
その言葉に吉田は反応せず、ただひたすらに日哉と戦い続ける。
「——こいつ、どうしても倒せないのか?」
日哉の剣撃が鋭く、そして冷酷だ。だが、吉田もまたそのすべてを受け止める覚悟で応戦していた。
「それでも、お前のことは絶対に倒してやる。」
戦いの中、二人の兄弟が最後の一撃を繰り出そうとした瞬間——
「やめろ。」
その声が響いた。
一瞬、二人は戦いを止める。
「誰だ?」
吉田が反応し、日哉も目を細める。
そこに現れたのは、まさかの人物——雨宮京介だった。
「……お前、何をしに来た。」
吉田が問いかける。
「俺がこの兄弟喧嘩を終わらせに来た。」
雨宮は冷静に言い、すぐにその場に立ち尽くす。