部屋で着信音が鳴り響く。 表示に出てきた名前を見て、俺は焦る。
「もしもし〜快翔~」
電話は5つ上の兄、柊翔からのものだった。
「もうそろ検診だけど、X月X日で変更ない?」
「おう、放課後行けばいいんだろ?」
「そうだね、無理だったら休日でもいいけど、」
「や、別に大丈夫だ」
「わかった、じゃあちゃんと来てね」
電話を切って、ソファに横たわり、頭を抱える。
(やっぱ、相談するべきだよな…)
俺は病院の入口付近で止まった。ドアの前でぐるぐると8の字を描きながら、入るのを躊躇っていた。
「かい??」
後ろから呼ばれ、振り向くとれおがいた。
「れお?!どうしているんだ?」
「俺も検診なんだ!まぁ、入ろーぜ」
一条を連れに入った時と同じように強引に連れ入り、受付に向かった。
受付を済まし、椅子に座って呼ばれるのを待つ。見てくれるのが、しゅうにいのためいつも早めに呼ばれる。
「橘さーん」
れおんが立ち、番号1の診察室に入る。1は柊翔の部屋で、Dom,Sudの検診をしてくれるとこだ。
(俺がいるのに、先に違うやつが呼ばれるのは初めてだ…)
結構な時間が経ち、れおんが出てきた。れおんは検診前と少し違って見えた。そして、やっと名前を呼ばれ1の部屋に入る。しゅうにいも久々に見たからなのか、少し雰囲気が違っていた。
「ごめんな〜先に呼ばなくて」
そう言うと、いつものように検診が始まった。
「最近変わったことはない?」
いつも終わりに聞いてくるお決まりゼリフが、今日は問い詰められている気持ちになった。
「えーと、俺って通常のDomと比べて運命の人だけにしかコマンドがきかない異Domなんだよな?」
俺は異Domと診断された。異Domは普通の人間とあまり変わらず、ほぼDomだが、運命の人だけにコマンドが使えるDomで、そのため通常のDomに比べコマンドが強いらしい。
「そうだね、それがどうかしたの?」
「いや、俺の学校にいる先輩がSudなんだけど、その先輩にコマンドを使ったときに、コマンドが効いたんだ、、、」
「そうか、なるほどな」
柊翔は難しい顔をして、紙に文字を書く。
「はい、これ」
今まで書いていた紙を渡された。そこには沢山の言葉が書いてあった。
「これは?」
「これから気をつけてほしいことを書いておいた。」
紙には気安くコマンドを使わないこと、異Domと悟られないことなど異Domについてのことが書かれていた。そこには驚くことが書いてあった。
「コマンドを使える人と行為をすることで性欲を押させることができるため、同意を得てすること。っていうのは?」
「快翔が言っていた、コマンドが効く先輩と行為をすると良いってこと。でも、相手が同意してないのにやったら、犯罪に繋がるから気をつけてね。」
紙といつもの抑制剤を貰って、検診を終えた。
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