あっという間に週末がやってきて、私はドキドキしながらも、先輩やテニス部の人たちと遊園地に向かうことになった。
「うわー、久しぶりに遊園地!超楽しみ!」
璃子が嬉しそうに言って、私もつい笑顔になってしまう。
先輩ももちろん来ているんだけど、あまり表情に出さないから、どこまで楽しみにしているのかはわからない。
でも、ちょっとでも笑顔が見られたら嬉しいな、と思う。
遊園地に到着して、みんなで入場券を渡して中に入ると、すぐに遊園地の明るい雰囲気が私たちを包み込んだ。
「どこ行くー?」
璃子がワクワクしながら聞いてきた。
「どうしようかな、ジェットコースター?」
「いやいや、私は観覧車!高さがあって景色がきれいだよ!」
「おいおい、そんなに高いところに行きたくないよ…」
先輩がちょっと困った顔をしながら言うと、私はちょっと笑っちゃった。
「じゃあ、観覧車の後にジェットコースターに乗るってことで!」
私が言うと、先輩も一応うなずいた。
(やっぱり、少しだけ照れてる感じだな…)
みんなで歩きながら遊園地の中を進むと、次々にアトラクションが目に入ってきた。
「楽しそう…!」
璃子が目を輝かせて言ったそのとき、先輩が突然私に言った。
「おい、くるみ。」
「え?な、なんですか?」
「観覧車、一緒に乗るか?」
「え…?えーーー!!!?」
急にそんなこと言われて、私は顔を真っ赤にしてしまう。
(どうしよう、先輩と二人っきりで観覧車!?ドキドキする…)
「え、いいんですか!?」
「まあ、いいけど。」
先輩はあまり表情を変えずにそう言ったけれど、なんとなくいつもより優しい声に聞こえた。
(これって、もしかして…)
「じゃあ、行こう!」
璃子がにこやかに言うと、私たちは観覧車の列に並び始めた。
「うわー、めっちゃ楽しみだね!」
璃子と他のテニス部の子たちが後ろに並ぶ中、私は先輩と一緒に二人だけで観覧車に乗ることになった。
(先輩と二人きりだ……どうしよう、ドキドキしてきた…)
順番が来て、座席に座ると、先輩が隣に座った。
私の心臓は、ドキドキと速さを増していく。
「……緊張してるのか?」
「え?あ、いえ、そんなことないです!」
(いや、全然緊張してるし、バレバレだよ…)
観覧車が動き出すと、ゆっくりと上昇していく。
「高いですね…」
思わずつぶやいたその言葉に、先輩が少しだけ目を細めて答えた。
「そうか?」
「はい、結構高いですね。」
「あー、確かに。お前、怖いのか?」
「いや、別に怖くはないですけど…ちょっとドキドキします。」
先輩が何気なく私の方を見たその瞬間、私たちの顔がすごく近くなって、心臓がさらにドキドキしてきた。
(もしかして、これって……)
先輩の目が私を見つめると、何かの沈黙が流れる。
そのまま観覧車がゆっくりと頂上に達し、景色が広がった。
「すごい、きれいですね…」
私が少しだけ声を出すと、先輩は黙ってうなずく。
そのまま、二人だけの静かな時間が流れた。
(こんなにドキドキしてるのは、先輩と二人きりだから…かな?)
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!