観覧車が頂上に到達した瞬間、目の前に広がった景色に、私は言葉を失った。
「わぁ…すごい、きれい…」
目の前に広がる夜景は、まるで宝石のように輝いていて、息を呑むほどだった。
「だろ?」
先輩が静かに答えながら、少しだけ私の方を見た。
その瞬間、私は不意に彼の目線が気になってしまった。
(先輩、もしかして…ここで何か言いたいことがあるのかな?)
心臓がドキドキして、でも言葉が出てこない。
「先輩、今日はありがとうございました。」
思わず、感謝の気持ちを口にしてしまった。
「え?」
先輩は少し驚いた顔をして、私を見つめた。
「いや、あの、こうやって一緒に来てくれるなんて、すごく嬉しいって思って。」
「……別に、大したことじゃない。」
先輩は照れくさそうに目をそらした。
(え…!?先輩、照れてる!?)
「本当に?」
私が少しだけ確かめるように言うと、先輩はちょっとため息をついてから、再び私に視線を向けた。
「……ああ。お前が楽しそうにしてるの見ると、まあ、嫌じゃないから。」
その言葉に、私は心の中で叫びたい気持ちになった。
(先輩、今、すっごく優しい顔してる…)
でも、その瞬間、観覧車が動き始め、私たちは下に向かって降りていった。
「せ、先輩、もう終わっちゃうんですね。」
「うん、もうすぐ着く。」
そのまましばらく無言のまま降りていく。
でも、静かな時間が私にとっては心地よくて、先輩とこんな時間を過ごしていることが、すごく幸せだった。
観覧車を降りてから、テニス部のメンバーと合流し、次に向かったのはジェットコースター。
「やっぱり、こっちも乗らなきゃね!」
璃子が言いながら、先輩と一緒に列に並ぶ。
「先輩、乗りますよね?」
「……いや、俺はやめとく。」
「えーっ、なんでですか!」
璃子が文句を言っているけれど、先輩は涼しい顔でうなずく。
「……俺は、別に怖くないけどな。」
でも、しばらく考えた後、先輩が私を見て言った。
「くるみ、お前はどうする?」
「えっ、あ、私も……」
(いや、どうしよう、また先輩と一緒に乗ったらドキドキしちゃう……)
一瞬迷ったけれど、私は意を決して答えた。
「先輩と一緒に乗ります!」
すると、先輩が少しだけ微笑んで、「お前、変なところで決めるな。」
その笑顔に、また心臓が高鳴るのを感じながら、私は一緒にジェットコースターの列に並んだ。
(どうしよう、先輩と一緒に乗るってだけで、もうドキドキが止まらない……)
ジェットコースターが来て、二人で座ると、先輩はまさかの無表情。
だけど、その無表情に隠された気持ちが、私にはわかる気がした。
(先輩、もしかして少し緊張してる?)
でもその時、ジェットコースターが動き出し、私は思わず手をぎゅっと握りしめた。
「わああああ!!!」
そして、先輩も――
「くるみ、お前、怖いのか!?」
その瞬間、先輩が驚いた顔をして私に言った。
(先輩の顔、今の表情も…なんだか、嬉しそうに見える…)
ジェットコースターが終わった後、私たちは少しお互いに顔を見合わせて、笑い合った。
(今日、ほんとに幸せだな……)
私たちの間に流れる空気が、いつもと少し違って、何だか心地よかった