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数年前は華奢で細え腰で長い足を振り回しながら女にうつつを抜かし、鼻血を垂れ流しまくってるようなコックは二年後、逞しい体になって帰ってきた。その二年間で何があったかなんて、おれは知らねェ。ただ、この船に乗る奴らは皆、コックが女好きであることを知っている。そしてそれを受け入れているし、そんなコックを揶揄って楽しんでいる節がある。だから、きっとアイツは女に振られたんだろうと思うのだ。そうでもなきゃあのコックが男なんかに走る訳がない。……いやまあ、おれも人のことは言えねぇが。
そんなコックを組み敷いた時に見せる、とんでもなく優しい笑みが俺は嫌いじゃねェ、と思った。女に対してそれをすれば確実に勘違いされるだろう。だがおれに対してなら、それは優越感に繋がった。その笑みは、コックがおれにしか向けないものだ。
「…なんか随分と早ぇな」
「っ、うっせ、……久しぶりだっつったろ」
「まあな。でもテメェは中だけじゃいけねぇだろ」
そう言ってコックのそれに手を伸ばせば、ごくりと喉仏が上下するのがわかった。そのまま指で輪っかを作って上下に動かせば、またとろりと先走りが溢れてくる。押しつぶすように親指で刺激すれば、気持ち良さそうに体を震わせた。
「てめッ……んぁあ!」
もうちょい焦らしてやってもいいが、それはまた今度にしよう。何より余裕がねェ。久方ぶりの行為に、おれのそれもいい加減限界だった。コックの腰を浮かせて指を這わせながら後孔へと向かう。ナカが期待するようにヒクついていて思わず喉が上下した。
そのまま誘われるようにゆっくりと中へと挿入する。ぐるりと掻き混ぜればそれだけで中がきゅうと締まったのがわかった。
……コイツはこんなんで女抱けるんだろうか。ふと疑問に思ったがまあどうでもいいかと頭を振る。今はただこの熱をどうにかしたい一心で腰を動かした。
「いいからッ……!さっさと突っ込めって!」
言ったな、上等。
「あ、っ〜〜!!」
奥を何度も責め立てれば、コックの体が弓なりにしなってびくびくと痙攣する。ぎゅうと抱きしめてやれば縋るようにしがみついてきて堪らない気持ちにさせられた。
「てめッ……んぁあ!」
「テメェが早くしろって言ったんだろうが」
そう言ったらコックは何か言いたげに口を開いたあと悔しそうに口を噤んだ。そのまま腰の動きを早めていけば、また嬌声が上がる。その声がもっと聞きたくて、コックの感じるところを責め立てれば、一層高い声で啼く。
……そう言うところが可愛いな、と思う。普段は喧嘩ばかり吹っ掛けてくる癖に夜伽の時にはこうも素直だとは誰が思うだろう。まあそれも俺だけだと思えば悪い気はしなかった。
目が覚めれば、もうすでに日は高く登っていて隣には俺の腕で珍しく眠るコックがいた。よく見てみれば,こいつは同い年のくせに割と幼い顔立ちをしている。普段は眉間に皺が寄っていたり、口端を吊り上げていたり、とにかく険しい顔をしていることが多いコックの寝顔が見れるのはこういう時くらいだなとぼんやり思った。
その白い頬にそっと手を添えれば、ん……と声を漏らして擦り寄ってくる。それが猫みてェで思わず口元が緩んだ。そのまま何度か頬を撫でていると、ゆっくりと瞼が開かれて蒼い瞳が覗く。 その瞳に自分が映っていることが嬉しくて、思わず口付けた。
「…やべ、クソ寝坊じゃねェか!」
「あァ?もう昼だぞ」
「つーか、…時間的に延滞料金が…あー…ナミさんに
なんて言われるか……」
「別に構いやしねェだろ」
「テメェはそうだろうけどおれはヤなんだよ!」
そう言って慌ただしく身支度を整えるコックの後ろ姿を眺める。いつも思うが、こいつの腰細ェな……。そんなことを思いながら眺めていると不意に振り返ったコックと目が合った。
「何ジロジロ見てんだエロマリモ!邪魔だからさっさと出てけ!」
「……あァ?誰がエロだこのクソコック!!」
「てめッ……!朝からそんな元気なら起こせばよかっただろおれを!」
「あァ?てめェが勝手に寝たんだろ」
「っ、それは……そうだけ、ど……」
そう言って口篭るコックに思わず笑みが溢れそうになる。なんだコイツ可愛いな。
「何笑ってんだマリモヘッド!」
「別になんもねェよ」
「……クソ、もう知らねぇ!さっさと出てけ!」
「へいへい」
まあ、そんな所も含めておれはコイツが好きなんだが。そんなことを思いながら部屋を後にした。