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アレクシスが召喚したリュウゼンは、王国最強の剣士と謳われた存在。
かつて龍神陛下の養子として、幾多の戦場を渡り歩いた戦士だった。
彼の剣技は超一流、速さも異次元。王国の軍師は「彼がいれば戦争に負けることはない」とまで言っていた。
しかし──
「……終わりか?」
異魚天は動かずにリュウゼンを見下ろしていた。
リュウゼンの身体には、無数の黒い裂傷が刻まれている。
まるで見えない刃に切り裂かれたかのように、彼は崩れていった。
──ザクリ。
最後の一閃が、リュウゼンの首を切断する。頭部は地面に落ちる。
「な……ぜ……?」
リュウゼンの口が僅かに動いた。彼は理解できなかった。
彼は確かに剣を振るった。何度も、何度も。
だが、異魚天は一度も見えなかった。
彼が動いた瞬間、すでに斬られていた。
彼の剣が届く前に、すでに喰われていた。
「悪いな」
異魚天が、最後に囁いた。
「お前の技は、もう俺のものだ。」
リュウゼンの頭部は消えた。
夜喰が、存在ごと呑み込んだのだ。
アレクシスは、ワインを飲んだ。
彼の表情には何の動揺もない。
「いいね……やはり、君は最高だ。」
異魚天が、アレクシスに視線を向ける。その目は、燃えるような紅蓮の光を宿していた。
次は──貴様の番だ。