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百side



「ん~…」



待ちに待った夏休み。

終業式あるあるの校長先生の長いお話…より、生徒会の連絡の方が個人的には長くて面倒くさい。



「…」



最近は第二理科室に寄って帰ることが多かったのだが、今日はみんな忙しくて誰も来れないらしい。


一学期最後の日なのに少し寂しい。



「…黈    …、!!(照)」



なんとなく口走った黈の名前。

一人きりなのにすごく恥ずかしくて顔が赤くなっていっているのが自分でも分かった。



「いいや、1人でも。寄って帰ろ。」



俺はいつも通り第二理科室へと向かった。









「失礼しま~す…って誰もいないけど…」



エアコンが効いていないはずなのにすこし冷んやりとしている第二理科室。


山の影になっていたり、無駄に水槽が多かったり、理由は色々だが一人でいると少し怖い。



「…これ、(手掴)」



1番奥の机に大量の漫画が積み重なっている。



「茈か赫の…、?」



最近は茈が漫画を大量に読んでいたので多分茈のだろう。


…このまま置いて帰っていいのだろうか。



「茈なら、部活だから…」



体育館に行ってみよう。











MOB①「パスっ!(手出)」

MOB②「おぅっ!!」



体育館はシューズと床で擦れあっている高い音と、ボールがはねる音、そして部員の人達の声でいっぱいだった。


言っちゃ悪いけどとても汗臭い。



茈「最後もう1回行くぞー(大声)」



あ、茈だ。

何気にバスケしてんの見るの初めてかも。

意外とかっこい~(笑)


邪魔しちゃ悪いのでバレないようにこそっと、体育館の階段を登る。


2階の方が暑い空気が溜まって気持ち悪い。

すぐ近くの窓をさらに開いた。



茈「…っし、休憩~!15分後に再開するから水分とかトイレとか行ってこい~!」



お、タイミング良いじゃん。


部員のみんなが散らばり行って、体育館には数人ほどしか残っていなかった。


そりゃこんな暑いとこ出たいわ。



百「茈~…」

茈「…え、百?」



外に出ようとしていた茈を引き止めると、すごく驚いた顔をしていた。



茈「えなに入部希望?もう大会とかないけど」

百「いや違うわ(笑)」



疲れているだろうにいつも通りのテンションで話してくれた。



百「理科室の漫画、持って帰っちゃわなくていいかなって」

茈「…あ、忘れてたわ。部活終わったあと取りいく、ありがと」

百「うん、!」



部活頑張ってね、と声をかけて、俺は第二理科室へと向かった。







茈「…っえ 百!?」

百「意外と遅かったね~…(欠伸)」



折角なら一緒に帰ろうと思って待っていたら普通に遅かったのでびっくり。



茈「…ふつうにびびったわ」

百「気配消すのは得意なんでね(笑)」



茈に漫画が入った袋を渡そうと思って近づくと、体育館のあの匂いがした。



茈「…お前、全部顔に出てんぞ」

百「え?」

茈「ちょうど汗ふきシート切らしちまったんだよ、許せ」

百「…いや全然気にしてない」

茈「近づいてきた瞬間顔しかめたやつが何言ってんだか。」

百「…ちょっと、?」

茈「先帰ってればよかったのに…(呆)」



どうしよう、邪魔しかしてない。


ごめんね、茈。



百「…」

茈「…お前って自己肯定感低いよな」

百「え、?」

茈「別に今のでお前を嫌ったりしねぇし、邪魔だなんて思ってねぇし、なんなら待っててくれて嬉しかった、どう?」

百「…!!」

茈「とっとと帰るぞ、あほ前髪ピンク」

百「うん!」



ほんと、優しいよね、茈って











茈「まだ明るいな」

百「そだね~…夏ってかんじ(靴履替)」



下駄箱でどうでもいい話をしながら靴をはきかえる。

なんか始業式の日みたいで懐かしい。



茈「風涼しい~(手広)」

百「部活おつかれ(笑顔)」

茈「…ぉう(照)」


何気に茈と2人で帰るのは初めてかもしれない。







茈side




百「茈モテそうだよね~」

茈「急になんだよ(笑)」

百「これくらいしか友達との話題知らねぇんだよ…」



百と2人。

オレンジ色に染まった帰路を歩く。



百「優しいし、かっこいいし、頭も…悪くは無いし、?」

茈「英語ダメダメなやつに言われたくねぇけど。」

百「だいぶ分かるようになってきたから!!」



こんな話題を百から振ってくると思わなかったのですこし驚いた。



百「好きな子とかいないの~?」

茈「…」



赫が好き。

なんて言ったらどんな反応をするんだろう。



百「ぁ、その反応!いるんだ~?(笑)」

茈「…まぁ、一応男だし。」



あいつらとも恋愛話をする機会なんて無かったので不思議な感じだ。



百「誰なの~?」

茈「言うわけねぇだろ、あほか。」



にやにやと俺の顔を覗き込んでくる百の姿を見ると無性に腹が立つ。



百「ん~…〇〇さんかな~…△△さん、?いや□□さんも…」



俺の顔をちらちらみながら女の名前をあげている百。


やっぱり、女だと思うよな~…。



百「…ぁ!赫とか!」

茈「…、…」

百「ぇ、!」



…馬鹿か俺。いや馬鹿だ俺。

名前を出されて分かりやすく反応すんな。



百「えまじ?」

茈「…だったらなんだよ。気持ちわりぃ?」



よりによってこれから仲良くなりたかった百にバレるなんて。


最悪だ。



百「別に~?いいんじゃない?(笑顔)」

茈「…は、?」



ただただ変わらずにやにやしながらこちらを見てくる茈。



百「いや赫っちゃんいい男だし…惚れるのもわかる…んで、どこが好きなの?」



普通の恋愛話と同じように話題を広げようとしてくる百。



茈「引かねぇの?…男が好き、とか。」

百「誰を好きになろうとその人の勝手でしょ?」



さも当たり前かのように答える百が嘘をついているようには見えなかった。



茈「…誰にも言うなよ?」

百「好きなとこ教えてくれなきゃ言っちゃうかも~?」

茈「…優しいとこ、(照)」



なんでこんなことCO.しなきゃいけねぇんだよ。



百「詳しく~っ(笑)」

茈「…周りのことよく見てるし、自分より他人優先だし…心配するぐらい優しいとこ…なのにツンデレなの最高。」

百「ふーん、?(笑)」

茈「なんだよ」



さらににやけだした百を軽く咎めると、



百「赫っちゃんのことほんとに大好きなんだな~って(笑顔)」

茈「…、(泣)」

百「え、茈、!?」



…こんなに普通に受け入れてもらえるなんて、思っていなくて、張り詰めていた糸が、百の笑顔を見てぷつん、と切れた。


こいつといたら感覚狂うわ…(笑)



茈「はぁっ…ごめん、」

百「いやいいけど…大丈夫? 」

茈「もう大丈夫、気にすんな」

百「…うん」



今日が、俺にとって、恋愛的な意味ではなく、〝親友〟として百のことを意識し始めた日だ。





百side




茈「そういう百は居ねぇの?」

百「へ、?」



…そうだ。

こういう話をし始めたらだいたい自分に返ってきてしまう。



茈「えいるんだ、意外(笑)」

百「いや居ないっ、…」

茈「俺本当のこと言ったのに百は嘘つくんだ~?」


もうやだぁ…(泣)



百「気になる人はいるけど好きかはわかんないの…、!」

茈「それもう好きじゃん?(笑)」



こいつっ…もう失うもんが無いからって深入りしすぎだろ…



茈「んで、誰なの?」

百「言わないっ…」

茈「…じゃ百みたいに手当り次第名前出して…」



やばい、そんなことされたら絶対顔に出る。



百「ぁっ、!好きになったら言うから!」

茈「は?」

百「だから!好きってちゃんと思えたら言う!」

茈「ふ~ん…ならいいやもう少し待ってやる(笑)」



よし、なんとか今日は持ちこたえた…



茈「ま、どうせ黈とかだろ?(笑)」

百「…ち、違うよ~…(焦)」

茈「…なんかごめん」



最悪っ…(照)










…でも、俺黈のこと意識してるんだな…









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