コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
第4話 「奏の初めて、そして出会い」
前回のあらすじ
冒険者の街アストヘルドに着いた奏、汗だくになりクタクタな奏は宿へ向かうことにした。
「では、あちらの部屋をお使いください。鍵はこれを……」
鍵を受け取り、自分の部屋へ向かう。扉を開けると、奏は一目散にベッドへ寝転び込んだ。
「今日は疲れた……もう寝よう……」
と思ったが、さすがに泥だらけで寝るのはどうかと思ったので、風呂に入ることにした。
「……忘れてた……」
脱衣所で服を途中まで脱いだ奏、ぽつりとそう呟き、今の現状を思い知る。あまりにも多くの出来事がありすぎてすっかり忘れていたが、今の久凪は奏であり、女なのだ。久凪も年頃の男。裸の女の子を合法的に見れるぞと言われれば、二つ返事でOKしてしまうというもの。ゴクリと唾を飲み込み、スルスルと服を上にあげてゆく…目の前の姿見に広がっていた光景は、目を閉じることを忘れさせた。前世の体からは想像のできない子供の体…人形のように細く、色白い腕、お腹の真ん中にあるおへそ…そして少し上を見るとそれはあった…雪原に咲き誇る1本の桜の木のような薄くグラデーションされたピンク色の子供らしい小さいそれは、ロリコンなら1発KOであろう。
こ、コレが…今の俺なのか……
妹の裸以外、女の裸は見たことがなかった。まさか、こんな形で見ることになるとは思っていなかったようだ。
「残すは……」
足……薄いタイツに隠されていた可憐な足は、ぷにぷにな太ももとふくらはぎが曲線を描いていた。爪は綺麗に切りそろえられており、指と指の間は、長旅のせいか、汗で湿っていた。
そして、足の少し上。腰の部分には、これまで人生16年間を共にしてきた息子は、既に度だった後だった。このされたのは、毛も生え揃っていない可愛らしい…いや、やめておこう。
まだ見たいという欲望を押し殺し、そそくさと風呂へ入った。
「ふぅ……」
時刻は22時くらいだろうか、風呂を出て眠くなった奏はベッドで横になっていた。 風呂に入ったということは、体を洗ったということだ。だが、多くは語らない。奏はただ一言…
「異世界って、いいな」
満足気な気持ちを顔には出さず、心の中に留めた。そろそろ寝ようと掛け布団を手に取った瞬間、窓の外から男の怒鳴り声が入り込んできた。喧嘩か…それともマーシャの言っていた強姦か…どちらにせよ、男なら放っては入れない。奏は重い体をベッドから起き上がらせ、階段を降り外へ出た。向こうからは、治まりそうもない男の大きく近所迷惑なが響いていた。
「いいから、俺らと一緒に来いって言ってんだ…わかんねぇか?」
「何度も言ってるっす…お前らと夜遊びする気はないって。」
「顔がいいからって生意気なガキだ…兄貴、もういいんじゃないすか?」
2人のモヒカン男が、ローブの子供に手を伸ばした、その瞬間…
「あっ…あの!」
それを止めに入ったのは奏だった。今にも抜けてしまいそうな腰を、産まれたての子鹿のように支える奏。奏を見つめ、何故か不敵な笑みを浮かべる男共、その気持ちの悪い目つきには鳥肌が立った。
「なんだよ嬢ちゃん…こんな夜中に1人か?」
「そ…その子…嫌がってると思うんですけど…」
「あぁ!?だったらなんだってんだよ?」
「いや…その…」
上手く言葉が出ない。嫌がっていると言ったところで、はいそうですねと返事してくれるほど性欲に飢えた男は賢くはない。
なにやってんだ…なにやってんの俺!!
自分のした事に今更後悔しながら泣きそうな気持ちをグッとこらえる。
「もういいん…顔は上物だな…よし。こいつも連れてくぞ。」
「…え?」
どうやら奏も、その美しい容姿から強姦の対象に選ばれてしまったらしい。
え?は?やだやだやだ!こんな男たちに淫らな事されるとかたまったもんじゃない!!
奏は思わず2歩、3歩と後ずさりしてしまった。
そんな奏に詰め寄るように、男がこちらに手を伸ばしてきた。奏がまた1歩後ろに下がると、つるん!という音とともに、奏の足が上へと舞い上がり、男の股間に命中する。
「んぃいてぇえ!!!」
どうやら、零れていた酒で足を滑らせてしまったらしい。なんという偶然!奏や男が呆気に取られている間に、行動を起こしたのはローブの子供だった。
「こっち。」
「え?…ぁあ!」
ローブの子供に手を引っ張られ、悶絶する男共を無視して速やかにその場から立ち去った。
「あぁ待って!部屋取ってるから…」
手を引っ張っているローブの子供を引き止め、
宿に入った。早に着くと、安心したのかローブを脱ぐ子供…奏は、初めて子供の素顔を見て目を見開いた。
「ふぅ…」
そこには、奏と同じくらいの背丈の、14歳くらいの少女が立っていた。肩の辺りで切りそろえられた所々紫色が混ざった金色の髪…アメジストのような鋭く丸い瞳と、自分と同じようなツヤのある肌に見惚れていた奏は、ほっぺをぺちぺちと叩き、慌てたように話しかける。
「ご…ごめんね?質素な部屋で…」
10数畳程の小さい部屋。扉の正面には窓があり、左の隅にはベッドが1つ、隣には小さな本棚と机…右側には浴室に繋がる扉がある。
「全然大丈夫っす。それより、助けてくれてどうもありがとうございましたっす。 」
本当は転んだだけだというのは黙っておこう。
「さっきのは…実は……」
少女は、男たちに襲われそうになっていた経緯について話してくれた。どうやら、あの男共はロリコンだったらしい。それも、アストヘルドでは名前の知れてるやつらしい。通称ロリ強姦魔ヘルドレイド。そんな奴に目をつけられるとは、シャルルも運が無いものだ。
「私の名前はシャルル・マーレ。シャルって読んでくださいっす。」
「私はカナデ。カナデ・ヒサナギ。よろしくね!シャルル!」
「こちらこそよろしくっす。じゃ、挨拶も済んだことで、お風呂にするっすか?」
「えぇ!?お、お風呂って…いい一緒に!?」
「?当たり前っす。でないと、2人分の値段払わされるっすよ。」
少し頬を赤らめて恥ずかしがりながら、え、あ、と言葉を詰まらせる奏。一方シャルルは、一緒に入る気満々のようだ。
「何してるゆすか…早く行くっすよ。」
「あ、ちょま! 」
そんな奏後の声を知らんぷりし、シャルルは奏のことを引っ張って脱衣所に向かった。
これ…あかんやつだ……
この先の展開に覚悟を決めた奏……シャルルと共に無事お風呂を上がることはできるのだろうか……
第4話、これにて終了です。やっとシャルルと出会いましたね。このときを待ち望んでました……誤字脱字等は、コメントで教えていただけると助かります。
次回第5話、「一難去ってまた一難」