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6話
私と双子だけのいつメンだったのが2人、滝川ティナと古谷総一郎の追加により5人になった。2人とも癖が強く、クラスの中でも私たちは何かが違うと認識されてきている。それを4人は楽しいと思っているらしい。
そんな私たちだが、3年生の復習漢字テストで奏舞が50点以上取らなければ休日はいつメンで勉強会ということになった。もちろん、奏舞が50点以上とれば遊ぶという約束にもなっている。
「ああぁぁあぁあ…」
「オワッタ…カンジ…difficult…」
ちょうど漢字テストが終わり、嘆いているバカが2人いた。おそらくテストが予想以上に書けなかったのだろう。
その横でメガネを拭いている総一郎と鬼の形相になっている空舞がバカ2人を見つめていた。
「やっぱり毎日勉強しなきゃダメか…漢字と計算だけはできていたほうがいいし…いやでも奏舞の要領なら」
空舞が奏舞を叱るのを諦めて対策を考えている。空舞は勉強のこととなるといつも以上にスパルタになるから、これからの奏舞が少し気の毒に思える。
「ところで、ディフィカルトって?ティナが言ってた」
奏舞がさっきまで寝かせていた体を起こして聞く。
「難しいって意味」
教えると、へぇ、と言いながら次の授業の準備をする。
私はこの様子を見ても、奏舞に勉強の意欲がないとは思えない。空舞がずっと奏舞は勉強に対しての意欲がないと行っているけれど、もし勉強することに苦手意識を持っていたり意欲がなかったりしたらdifficultの意味もわざわざ聞かないだろう。空舞はそれに気づかないらしい。
「総一郎は?テストどうだったの」
「全部埋めた。まぁ、自信がないのは一つあるけどさっき確認したら合ってたからたぶん、90点はいってるでしょ」
メガネを拭き終えた総一郎は表情筋をぴくりともさせずに言った。
少し前から思っていたが、やはり総一郎と私は似ている気がする。冷静で薄情、少し強情で変な所にこだわりがある。
私は総一郎をじっと見つめているとその視線に総一郎が気付き、眉を寄せてなに?と聞いてくる。
「似てるなって」
「は?」
軽い会話をする。そういえば総一郎とはこんな会話をよくする。私はこういうのが大好きだから楽しい。
「はいはいはい授業が始まるから席戻ろー‼︎」
私と総一郎の間に奏舞が割り込んでくる。そんな奏舞を見て私と空舞はびっくりした顔をした。それもそうだろう。
奏舞は人といる事が大好きだからチャイムが鳴るギリギリまで席を立っている。そんな奏舞がまだ授業が始まるまで2分あるのに席につこうだなんて、体調不良を疑ってしまう。
「oh…love enemy」
ティナが私と奏舞と総一郎を見て英語で言う。奏舞と総一郎は和訳がわからないだろうけど、私は基本的に英語は余裕だ。
その和訳に疑問を持ちティナをじっと見つめる。
「ティナ、頭でも打ったの?」
「相羅はモテモテだねぇ…」
ティナの言葉を聞いて、私はティナが頭を打ったんだと認識して席につく。それを始めに、クラスメイトも席についた。
私はいつも思うのだけど、なぜ日本人は1人が違う動きをしたら同じ動きをするのだろう。自分たちは好きなことをしていれば良いものを、周りに合わせようとする。日本人特有のDNAでそうなっているのだろうか?だったら欧米人のティナは周りに流されずにいられるのだろうか。頭の中でたくさんの疑問が生まれたが、チャイムでその思考を止められる。代わりに、退屈な授業が始まった。私はうまく寝ていてもバレないような姿勢を作り、静かに寝た。
気づくと授業が終わっていて、空舞に起こされていた。
「相羅、授業が退屈だからって寝るのは良くないと思うけど?」
眠たい体を起こして空舞の顔を見上げる。空舞の顔はだいぶ歪んでいた。
私はまた、先生が頑張って準備してくれた授業なのに、と言われるんだろうなとため息をつきながら空舞の説教を受ける。小さく、授業でやったこと全部知ってるし…と、文句を言ったらマジで怒られた。クラスのみんなはそれを名物のようにして笑いながら見ている。絶対楽しんでるな、あいつら。
数分ほどしてやっと空舞の説教から解放された私はやることもなくボーッとしている。すると奏舞やティナが話しかけてきた。
「週末さ、学校に集合してからソウの家行かない?」
ティナからの提案にみんなが頷く。私もワンテンポ遅れながら頷く。すると、ティナが、私がワンテンポ遅れて頷いたことに何か不満があるのかと思ったのだろう、相羅も大丈夫?と聞いてきた。
「大丈夫だよ。そもそも、総一郎の家知らないし」
「総一郎って呼ぶな」
いつも通り総一郎が私に指摘してくる。いつ諦めるのか…