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テラーノベルの小説コンテスト 第3回テノコン 2024年7月1日〜9月30日まで
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とある日の朝、学校は騒がしかった。

運動場を大勢で囲むようにして、人が集っていた。

俺は気になり、人の間をすり抜けた。

どうりで騒がしいわけだ。

校庭で飼っていたうさぎが、柵から抜けて脱走したらしい。

俺は息を飲み込んだ。

校門から侵入したのか、グルルと喉を鳴らした野良犬が、歯をむき出しうさぎを睨んでいたのだ。

先生は、野良犬を撃退するつもりなのか、急いでさすまたを取りに行く。

野良犬は、一歩ずつゆっくりうさぎに近づいていく。

うさぎは、寂しそうに鳴いている。

そしてついに3歩進み、うさぎに跳びかかる。

「もうだめだ…間に合わない。」

俺はまぶたを閉じようとした。

その時、小さな男の子が俺の横をすり抜けた。

思わず、目が強く開く。

男の子は、うさぎをギリギリで抱え上げた。

「良かった…。」

ところが、うさぎは助かったはずなのに悲鳴が上がった。

男の子が転んでしまって、足首には、野良犬が噛み付いていた。

血がポタポタとたれはじめる。

それでも、男の子はうさぎを離さずにいた。

ようやく、さすまたを取りに行っていた先生が来た。

男の子の足首から、野良犬を引き離し、さすまたで押さえつけた。

野良犬は、さすまたから抜け出して、逃げていった。

男の子は保健室へと運ばれた。



そして数時間後_

その時間は体育の授業だった。

俺は、運動音痴で体育は苦手だった。

種目はサッカーで、他のチームのプレーを見ていた。

「佐々木!パス!!」

ついに自分にボールがパスされた。

取りあえず、近くにいた木村にパスをしようとした。

その時、相手チームの高橋がボールを取ろうと足をかけてきた。

操作を間違えた俺は、思わず転んでしまい、足をすりむいていた。

試合が中断され、俺は授業から抜けて保健室へと向かった。

「失礼します。6年4組の佐々木です。」

そう言い、保健室に入る。

すると、見覚えのある子がいた。

うさぎをかばった男の子だ。

「あら~擦り傷、転んだのね。」

保健室の先生は引き出しからばんそうこを取ると、顔をしかめた。

「ごめんなさい、消毒液足りなくて、取って来るから待っててね。」

そして、男の子と2人きりになった。

足には、包帯が巻かれている。

俺は、いつの間にか男の子に声を掛けていた。

「あのさ、怖かっただろうに、なんでうさぎをそこまで守ったの?」

そう聞くと、男の子はこう答えた。

「うさぎさんが助けてって言ってたから。」

「確かに、寂しそうに鳴いてたもんね。

助けてって言っていたのかもね。」

「違うよ。」

男の子は、首を横に振った。

「そう言ってたんだ。」

男の子は真剣な顔をして俺にそう答えた。











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