5話
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#5
影が囁く旋律
「『囚われし旋律に従え』……これが鏡のメッセージだってことは分かったけど、どう解釈すればいいんだろ。」
帰り道、私はノートを握りしめながら考え込んでいた。
隣を歩く翠が肩をすくめる。
「旋律ってくらいだから、やっぱり音楽に関係あるんじゃない?あのノートの楽譜を完成させれば何かが起きるとか。」
「そうかもね。でも完成させるって簡単に言うけど、あの楽譜、音符があちこち抜けてるの。どうやって埋めればいいの?」
私は首をかしげた。
「そこは俺達の探偵スキルでなんとかする!w」
黃葉が胸を叩いて言う。
「スキルなんてありましたっけ?w」
紫音がすかさず突っ込み、私達は少しだけ笑った。
次の日の放課後、私達は再び音楽室に集まった。
昼間の音楽室はいつもと変わらず静かだったが、昨夜の出来事を思い出すと、どこか空気が重く感じられる。
「じゃあ、このノートの楽譜をどうにかして完成させよう。」
翠が言いながら、机にノートを広げる。
「まずは、このメロディが何の曲なのか調べるべきだね。」
ノアが冷静に提案した。
「音楽室には参考になりそうな本や資料がたくさんあるはず。」
「よ~し!僕と黃葉で棚を探そ~!」
紫音が元気よく立ち上がる。
「行動力ならノアが一番でしょ笑」
翠が苦笑しながら言う。
私達は手分けして音楽室を探し始めた。
本棚から古びた楽譜や音楽辞典を引っ張り出し、ノートに書かれた楽譜と照らし合わせる。
「これ、なんか似てない?」
黃葉が見つけた楽譜を広げて見せた。
「たしかに……でも、音符の抜け方が違う。」
私は慎重に楽譜を比較する。
「もしかしてこのメロディは完全に一致する曲じゃなくて……いくつかの曲が合わさったものなのかも。」
ノアが推測を口にした。
その言葉に、私達は顔を見合わせた。
ノアの考えは一見突拍子もないようだが、妙に説得力があった。
夕方、いくつかの楽譜を基にしてノートのメロディを補完する作業を始めた。
抜けていた音符を埋めると、ようやく一つの旋律が完成したように見えた。
「じゃあ、これを弾いてみるしかない…?」
紫音がピアノの前に座る。
「本当に大丈夫なのかな……」
私は少し不安だったが、ここまで来たら試さないわけにはいかなかった。
紫音が鍵盤に指を置き、ゆっくりとメロディを奏で始める。
音が部屋に響き渡った瞬間、空気が変わった。音楽室全体が冷たい風に包まれたような感覚がした。
窓の外から、鳥の群れが突然飛び立つのが見えた。
「……何か起きてる。」
ノアが低く呟く。
その時、ピアノの上に置かれたノートがバサリと音を立てて開いた。
ノートのページに、黒いインクのような文字が浮かび上がる。
「次は古い時計のもとへ」
「時計……?」
翠が声を上げる。
「校内に時計っていえば……――」
黃葉が言いかけた瞬間、音楽室の隅にある古い柱時計が微かに鳴った。
ゴーン……ゴーン……
「これって、まさか……」
私は思わず時計を見つめた。
音は不気味に響き渡り、次の七不思議への誘いを告げているようだった。
5話 終
「此の音、聞こえる、?」
私は音楽室の隅にある古い柱時計を指差した
静かな室内に響くのは、規則的な振り子の音
それが、まるで耳元で囁いているように感じられた
、、て、耳元で囁くように聞こえるのってどういう事?!
次回!
【時を刻む囁き】
いいねたくさん押して欲しい!
デュエルスタンバイ☆
コメント
2件
何が起きるんだろー !!どきどきしながら読んだけど、続きが待ち遠しい