泣いているのは君のせい。
⚠️キャラ崩壊、設定いじってる⚠️
なんでも許せる方のみ↓
冴×潔 凛×潔 黒名×潔
1.俺の居場所
朝、隣に誰も居ないことが憂鬱で仕方なかった。
サッカーをやめた今、テレビで兄の活躍を目にすることも慣れてきた。
潔が居なくなってから全てがどうでも良くなった。
兄を超えることもサッカーを続けることも何かを大切にすることも。
_潔に会いたくて仕方なかった。
「潔〜、昼ご飯食べにいくけどくるー?」
「行く〜。髪だけ直すから待ってて」
「了解、外で待ってるよ。待機、待機。」
「すぐ行くから。黒名!」
洗面台の鏡に映る自分は酷く荒れていた。
少しでも気を緩めた瞬間に膝から崩れてしまいそうなほど弱っていた。
ブルーロック終了から約2年付き合っていた凛と別れて以降、黒名の家に居候させてもらってる。
今でも凛から着信が来るが無視している。
ブロックすればいい?
できない。できるならとっくにしてる。
凛を心のどこかで求めてしまう間違った自分がいるからできないんだ。
そんな弱い俺を黒名は何も言わずに置いてくれる。それだけで嬉しかった。
「ごめん黒名。行こっか。」
外で鼻を赤くして待っていた黒名に声をかけると小さく頷いて隣に並ぶ。
珍しく雪が降っていて一段と寒い。
隣を歩く黒名が震えながら白い息を吐く。
「寒いか?黒名。」
「寒い、寒い。けど大丈夫。店に入れば暖かいし。」
「何分かかるかも分かんないし。ん。」
首元の真っ白なマフラーを取り、黒名にかけると耳まで真っ赤にして驚く。
「でも潔が…」
「俺は平気!筋肉あるし黒名より強いから」
「俺だって筋肉あるし強いんだけど」
黒名がマフラーを両手でぎゅっと掴んでそっぽを向く。
「でもありがと。助かる、助かる。」
「素直に受け取れよ、最初から」
「たしかに。」
こちらを向き直って無邪気に八重歯を見せつけては微笑む黒名。
そんな子供っぽい表情に凛を重ねてしまうのはダメなことだろうか。
「お腹いっぱい。眠たい、眠たい。」
「ふらついてんじゃん、寝れなかった?」
「…だって潔泣いてたから。」
下を向きながら黒名が俺にもたれかかる。
公園のベンチで腰をかけながら黒名はそっとそう呟いた。
「ずーとうなされて、俺の手握って離してくれなかったし。凛の名前がばっーか呼ぶし。」
少し不機嫌気味な黒名の大きな目をそっと見つめ返した。
不思議そうに首を傾げる黒名の肩を自分に寄せて頭をくっつける。
「ごめん、ちゃんと直すから。」
「…別にいいよ。無理に忘れなくても。」
必死に声を出さないように泣く俺を黒名はやっぱり何も言わなかった。
別れて泣きながら来た夜も、凛の愚痴を言ってたあの日も、きっと昨日だって手を離さない俺を起こさなかったのは向き合う手助けだ。
黒名はきっとものすごく優しい。
きっとじゃなくて絶対に。
俺は、その期待に応える力がもうない。
「潔、帰りパンでも買って帰ろ。」
「…うん、うんッ。分かった。」
嗚咽を漏らしながらもなんとか言葉を振り絞る。
今度は俺の足がふらついて黒名にもたれかかってしまう。
黒名は俺の手をぎゅっと握ってくれた。
少し前を歩きながら俺を引っ張る。
「黒名、ありがと。ほんと。」
「今さら言う?」
「なんかお前が手繋いでくれると安心したから?ちゃんと言えてなかったし。改めて。」
俺が照れながらも出した答えに頷いて笑う。
「納得、納得。」
今はもう少しだけこの楽しさに浸りたい。
「家まで競争しよ、走れ潔世一ッ!」
「急だなって速ッ!?笑」
「潔世一…?」