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絵上手すぎません?!✨ お話も普段読まない系統なので、新鮮でわくわくします! フォロー失礼します!!
糸通し ◀
返し縫い
玉留め
俺が初めて針を手にしたのは、小学一年生の時だった。
大好きなネコのぬいぐるみの、耳が破れて取れてしまって。
それを直してあげたくて、母さんに教えて貰いながら一生懸命縫ったのだ。
「ほら見て、ネコさん、すっかり元気になったね」
「うん!ぬってあげたら、げんきになった!」
「人間もね、大きな怪我をしたら縫うことがあるの。縫うことは怪我や病気を
治す、とても素敵なことなのよ」
母さんがそう言ったのはきっと、自分がパッチワーク教室の講師をしていた
せいでもあったのだろう。
俺は母さんの言葉を素直に信じ、沢山練習して、数年後にはすっかり裁縫を
特技としていた。
母さんが褒めてくれるから。母さんが笑ってくれるから。
それが嬉しくて、俺は作品を作り続けた。
けど…。
「お母さん、見て!新しい帽子を作ったんだ!」
「ごめんね、今お父さんとお話中なの。貴方はあっちの部屋に居て頂戴」
「…。わかった…」
俺が小学3年生になった頃から、段々と両親の仲が悪くなっていって。
父さんと母さんが言い争いをしたり、時には物を投げたりするのを
度々目にするようになった。
そして…。
俺が小学校を卒業すると同時に、
母は満開の桜の下を、寂しそうに歩いていって。
そのまま二度と、