暗く、冷たい部屋だった。
壁は鉄。天井も鉄。光のない閉鎖空間に、ただ機械音と、コードの軋む音が響いていた。
「ん……ぅ……」
カービィが目を覚ました時、隣にいたのは、メタナイト。
ここに来て“番号”を与えられた、実験体666番。
「……起きたか」
低く、静かな声だった。
その声には、どこか優しさがあった。
この場所では異質すぎるほどに。
「ここ……どこ……?」
「ナイトメアの“研究施設”。我々は“観察対象”……つまり、モノだ」
理解できるようで、できない言葉。
カービィは何度も瞬きをして、その場の異様さを確かめた。
檻のような空間、無数の目が付いた壁。
天井にはコードが張り巡らされ、まるで息をしているようだった。
「……こわい……こわいよ、メタナイト……」
「……泣かなくていい。ここから出る方法を……見つけよう」
それは、小さな決意だった。
けれど、その時からすべてが、静かに、確実に動き始めていた。
それから、幾日が過ぎた。
ふたりは様々な“実験”に耐えた。
肉体を裂かれるものも、精神を試されるものもあった。
それでもメタナイトは、毎晩カービィを抱きしめるようにして眠らせた。
「もうすぐだ、カービィ。次の観察記録が終わったら、出口の鍵を奪えるかもしれない」
カービィはまだ幼く、計画を立てられるような頭はなかった。
だからすべてを、メタナイトが担っていた。
その瞳に浮かぶ覚悟は、どこか“悲しげ”ですらあった。
そんなある夜。
薄暗い廊下で、“彼”の姿を見た。
ホーリーナイトメア。
この研究所の主。怪物のような機械仕掛けの存在。
そしてその向かいに――???が、立っていた。
「……脱出を望んでいるのか」
「……奴はただの子供だ。お前が望むような兵器にはならん」
「それでも我々は“素材”を求めている。???、番、お前もな」
そこで、???は小さく笑った。
「……わかっている。すべては、彼のためだ」
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665番→カービィ 666番→メタナイト