【em side】
em「英訳の本…ですか?」
sho「うんっ!!なんでもええねん、図鑑でも、小説でも…英訳の奴なら何でも!!」
皆さん、こんにちは、最近のこの暑い中、どうお過ごしでしょうか。
私はこの暑い天気の中、外に出る事がなかなか出来ずに、ずっと図書室や自室にこもってばかりで……。
ってそんな事言ってる場合ちゃうかった。
いつも通り図書室で本を読んでいたら、なんとシャオロンさんが私のもとへ来るではないか!!!
気になって、声をかけたら、返事はこれ。
「英訳の本を探しているの」
5歳(幼児化しているので)の子にいきなりそんな事言われたのは初めてで思わずびっくりしてしまった…。
しかし、いきなり英訳の本はハードル高いのではないでしょうか。
em「英訳の本やなくて、普通の小説にしてみぃへんか?英訳は難しいやろうし…」
そういうとシャオロンさんは首を横に振った。
sho「んーん!!!英訳の本!!」
「あ、でも英語の辞書も貸して?分からない単語もあるかもしれないから!!」
シャオロンさんはぐいぐいと私の身体をおす。
仕方なく私は、一冊の英訳の小説を貸してあげる事にした。
em「こちらはどうですか?」
sho「何これ…」
em「フランツ・カフカの変身という本です。面白いですよ」
sho「へー…どんな本?」
em「ある日、主人公が虫になってしまうんですよ」
sho「え、なんそれ!!」
どうやらシャオロンさんはこの本に興味を持ったようだ。
em「それにしても…どうして英訳の本を?」
sho「んー…お母様がそう言っていたから!!」
「僕がきちんと勉強しないといけないんだって言ってたんだ~」
em「そうなんですね……シャオロンさんのお母様はどんなお方です?」
sho「ん~…そうだなぁ」
「一言で言うと、放っておけない人かなぁ」
em「お父様は…?」
sho「僕の家、お父様いないんだ!!」
「お母様が僕を生んだ後に離婚したんだって」
「お父様はお母様以外の女性と色んな事したんだって」
「だから、お母様は僕が守らないとダメなんだ」
「いつも言ってた、お母様が「しにたい」「僕なんかいらない」って…」
「でも、僕はお母様が好きだから頑張って勉強して、お母様を楽にさせるの」
「怒ると怖いし、怒鳴ったり、殴ったりしてくることもあるけど、全部僕の為にやってくれているから…」
「だから僕はお母様の期待に応えれるように頑張るの!!!」
最初は少し悲しそうな顔で喋るシャオロンさんだったが、最後は笑顔でそう言った。
自分の親の期待に応えようと頑張ったりするのはとてもいい事だと思う。
でも、でもね……
em「…そういう親は子どもを道具としてしか見ていないんだ(((ボソッ」
sho「ん?なんか言った?」
em「いえ、何も!」
「それよりどうですか?難しい単語などはありませんか?」
sho「あ、えーっとね、これ!!!と、とらんすふぉーむど?」
em「transformedですね、これは変身するという意味です」
sho「なるほど!!!」
私たちは今まで、シャオロンさんの中身をきちんと見れていただろうか。
シャオロンさんはどんな思いを抱えながら幹部という職についていたのだろう。
なぞは深まるばかりだった。
次話→♡500
コメント
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続き楽しみ(((o(*゚▽゚*)o)))