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フィクションです。
もし、老人が若者に混じったら?山本氏は通販で面白いものを見つけた。変装グッズで、パック状のマスクとカツラが入っていた。彼は80才を過ぎていたが、人を驚かすのが好きだった。なかなかの二枚目に見える変装グッズは、彼にその他の購買欲を駆り立てた。明らかに青年向きのファッションサイトでシャツ、パンツ、ジャージの上下、ブランドもののスニーカー等を買った。手袋をすれば、青年が立っているようだった。カツラをさらに短髪にカットし、自分に合うようにした。老人なので余り激しい仕事は出来ない。さしあたり、テレアポの仕事を探した。履歴書を誤魔化したが、面接の担当者は、ろくに見もしなかった。「うちはネットで介護のデイケアの申込みを受付けて居ます。予約と、請求書送付したのに未納な個人宅へ連絡して下さい。」「アポじゃ無いんですか?」「ええ、アポは御婦人方がやっています。男性は余り来ないんで、別な仕事を考えました。支払いが有れば、山本さんには、一律時給の他に二千円付けます。」山本氏は年齢の分、色んな仕事を経験した。しかし今回のようなのは始めてだった。「お忙しいところ恐れ入ります。サエさんの月額料金が滞っております。お支払いが有りませんと、来月から訪問できないんですが…」「ああ、婆さんの年金が間もなく有るから、月末迄にはなんとか…」「有難うございます。」わりあい簡単だった。しかし面接の男は「みんな似たような事言うんですよ。ま、入金が有れば良いんですけど。」こんな感じで、山本氏は3日続けた。しかしある疑問が起こった。(振込があっても、無いと言われたらそれまでだ)そこで「集金は無いんですか?」と聞いた。「あんたやってくれるのか?直接支払いが有ればもっと歩合はつける」余程この会社は困っているのだろう。つづく