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K視点
自室に戻る前に藍さんの部屋に寄る。
コンコン
「どーぞ」
「失礼します」
「どした?」
「お届けものです。これ、真佑さんから」
預かった鍵を渡す。
「あー!忘れてた。捨ててくれてよかったのに。あ、ジョルジョのこと聞いた?」
「断ったらしいです。好きでもないのに付き合うのは失礼だし、私は1人でも強いからって。」
「ハハハ、らしいなぁ。いやぁ俺より漢だわ」
まいったとでも言うように髪をかく。付き合ってから見つけた藍さんの癖。
「あの、返して早々悪いんですが、その鍵僕が持っててもいいですか?」
「元カノが使ってたやつだよ?いいの?」
「いいです。この方がなんか恋人の特権って感じがして。藍さんはもう僕のですよって」
「居酒屋事件といい、意外と大胆よな。でも、それもうすぐ使えなくなるよ?」
「え??」
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M視点
藍くんが国内チームと契約を結んですぐ、彼の部屋の鍵を貰った。結局一度も行くことはなかったけど、大事なお守りだった。別れたんだから捨てればいいものを「気持ちが落ち着いたら返す。」そう言い聞かせて、いや、どこかで使える日が来るのを期待してずっと手放せずにいた。だけど藍くんには新しい恋人ができた。だからもう、けじめをつけよう。
甲斐くんを呼び出してそれを渡す。
「ちゃんと渡しておきます」
元カノなんかの頼みに嫌な顔ひとつせず丁寧にそう言ってくれた。きっと律儀にアイツに渡すんだろうな。最初からこの人には敵わなかったんだと痛感してしまう。だから好きになってもらえなかったのかな。
軽く会話した後、見守ってくれてたセナさんに声をかけられそのまま練習に向かった。
「よく頑張ったね」
「……うん。(´•ω•`) 」
「え、それどういう表情?w」
「ゔ〜、すみません.°(ಗдಗ。)°.」
「ちょ、ま、泣かないでよ〜」
高橋藍さん、あなたが好きでした。
お幸せに。
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