### **「溺愛なんかいりません!」**
幼馴染のアイツと同居…ってやつ!?
「優月、行ってらっしゃい!」
母さんの甘ったるい声が響く。玄関のドアを開けた瞬間、すぐに背中にぬくもりを感じた。
「は!?ちょ、なに!」
「今週のハグタイムよ? 忘れたらダメでしょ?」
背後からしっかり抱きしめてくる母。リビングでは父が「おー、俺も!」と両手を広げて待ち構えている。
「もうやめてって言ってるじゃん!!!」
私はその場で振りほどき、さっさと靴を履いて玄関を飛び出した。朝っぱらから、なんでこんなに過保護なんだ。いい加減、私はもう高校生なんだよ!?
おえー。吐きそう…うぷっ。
溺愛なんか、いらないって言ってるのに……。
その日の放課後、私は家出を決行した。
「はぁ、どこ行こう……」
スマホを握りしめ、ため息をつく。友達の家に転がり込もうにも、気軽に泊めてくれそうな子は少ない。親厳しいとこ多いしね。ネカフェに泊まるのもアリだけど、数日分のお金なんてないし……。
うん。無理だぁ。降参w
そんなとき、スマホが震えた。
**『優月、家出するんでしょ? 琉翔の家に泊まりなさいね♪』**
**『1週間に1回はハグか甘えること!!お小遣いあげるから』**
「は?」
まさかの母からのLINE。しかも、琉翔って……アイツ!?
信じられない気持ちでスマホを睨んでいると、また通知が鳴る。
**『鍵開けとくから。早く来いよ。』**
琉翔からのメッセージだった。
私は無意識に舌打ちした。なに勝手に話進めてんの!?
でも、泊まる場所がない以上、選択肢は限られている。私は仕方なく、琉翔の家へと向かった。
ううう…、もう少しお金があれば、株で増やせたのになぁ…。
「お邪魔します……」
玄関を開けると、琉翔がソファに座っていた。片手にゲームのコントローラー、いつものダルそうな顔。
「よ。……荷物、それだけ?」
「家出するつもりじゃなかったし」
実際、カバンには学校の教材しか入っていない。家出計画は勢いでやったけど、準備はゼロだった。
琉翔は「まぁ、なんとかなるか」と軽く笑い、私を見上げた。
「お前、親に溺愛されるの嫌なんだろ?」
「……うん」
「なら、ここで自由にしろよ。でも、条件ひとつ」
琉翔はニヤリと笑って、スマホを見せてきた。そこには、私の母からのLINE。
『優月が甘えられるように、しっかり面倒見てね♡』
「……いらないっつーの!!!!!」
私の叫び声が、琉翔の部屋に響き渡った。
**――こうして、家出生活(?)が始まった。**
(第1話・完)
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