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ある日、俺は神社から街へ出た。
そこで俺はある『青年』と出会った。
この時代ではみることのない暗い紫の髪に、吸い込まれてしまいそうなエメラルドグリーンの瞳。
『美しい』という言葉は彼のためにあるのだろうと、俺は心の底から思った。
青年に見とれていると、青年のほうから声をかけてきた。
「こんなところでなにしてるんですか?」
不思議そうに首を傾げる姿。
俺がにこりと笑って
「嗚呼、いやゞ、ただ…貴方が美しいな、と」
なんて答えれば、青年は微笑み返して丁寧に頭を下げてくれた。
「それはどうも、」
なんて言えば青年は俺から去ってしまい、家へ入ってしまった、残念だな…と思う反面、帰ってくれてよかったとも思う。
これ以上話していたら、俺はあの青年をこちら側へと誘うところだった。
だがせめて名前だけでも聞きたい。
俺はあの青年の入った家に近付くが、ここでお呼び出しが入ってしまった。
しょうがないので今日は諦めよう。
なにも今日しか会えないわけではない。
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