───可愛いものが好き。
ふわふわでキラキラで癒されるから。
可愛い子が好き。
何だか一緒にいるだけで幸せな気がするから。
…可愛い子になりたい。
いつからかそう思うようになっていた───
ボクは満瀬湊。
可愛いものが好きな、…ちょっと変わってる男の子の高校1年生。
ほんとに突然だけど、ボクは性同一性障害。
女装して、可愛くありたい。でも…そんなボクを受け入れてくれる人何ていない。
だから、ボクは学校ではひとりぼっち。
まぁ、自分で望んだぼっちだし、人と関わって変に困りたくないし!そう思っていた。…今までは。
湊「…~♪」
ガチャっと扉を開け、屋上に入る。本来、屋上なんて陽キャの溜まり場に思えるが…。ボクの学校は屋上禁止なので、心配ご無用。
…んぇ、ボクが何で入れてるかって…?
ふっふっふ、先生から鍵盗んだのだよ!
いやぁ、盗むまで大変だった…。
湊「我ながら行動力の塊だn…」
ガチャ、と扉を開ける音がした。背筋が綺麗に固まっていった。
?「うぇ!?何か扉開いたんだけど!!」
頭に響く大きな声。ついにばれるのかとか先生に怒られるとか、陽キャにバカにされそうとか色んな考えが過ぎる内、声の主に気付かれてしまった。
?「あれ、お前…」
湊「ぁ、ぃゃ…ぇと…」
この人は翠央唯希、だった気がする。
学園1の美少女で、毎日ラブレターが下駄箱から溢れ出るくらいのモテ具合。終わった。
言葉に詰まる。どうしよう、と考えていると…。
唯「んわ!!!湊じゃん!!!!!」
目をキラキラさせて、顔がガチ恋距離にある。もう頭は真っ白。
湊「え…ぁ、覚えてるんだ…ね、」
色々聞きたいことがあって、脳内がバグり変な事を言ってしまった。
唯「当たり前じゃーん!!私お前とずっと喋りたかったの!!!」
湊「しゃべっ……へ?」
唯「んねさ、聞いて?」
いきなり悩み相談!?ちょっといきなり過ぎて追いつかない…!!
唯「実は私ねー…」
湊「はっ、はい…」
唯「…湊とおんなじなんだよね」
「…へ、…?」