side お涼…
─Blizzard─
僕はいつも小鳥のさえずりで目覚める。
瞼を開くと、そこには身に覚えのない天井がうつった。
「どこ…?ここ…」
状況を把握しようとスマホを探すが、やっぱり見覚えのないスマートフォンが充電してあった。
スマホのホーム画面に表示されたのは、
「2027/11/7/11:18」
僕は寝ぼけているのか、と、目を擦るが
2027年、というワードが目に焼き付けられて離れない。
「涼ちゃん…?」
後ろから聞き覚えのある、芯の通った声が僕を貫いた。
そう、元貴だった。
「元貴、…?背、どした…の?」
身長が少し伸びた元貴が首を傾げた。
「何言ってんの涼ちゃん?笑
まだチビって言いたいのか!!
28歳の時よりも伸びたんだぞ!」
喉に引っかかった。”28歳の時より”…
「って、今28じゃないの…? 」
首を傾げて質問する。
「はぁ?笑
大丈夫?僕今、30だよ?」
普段は鈍感な僕が、この時は自分がどのような状況に置かれているか、理解をした。
つまり、僕は2年後にタイムリープしたのだ。
「元貴、今の音楽活動は…?」
さっきから何で質問ばっかりなんだよ、
と言わんばかりな顔をされ、
「涼ちゃん…?寝ぼけてる?」
寝ぼけてなんかはいない。だけど
何かしら、タイムリープするトリガーがあったはずだ。
…僕がいた、2025年の事を思い出す。
「ねぇ、元貴…2025年の11月7日って、
何したか、覚えてる?」
この質問を出したら元貴の顔から血の気が引いた。
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