「ちゃんと、返事したいんだ」
「タロヒョンらしいね」
「そうかな。真剣な気持ちに冗談で返すことはできないよ」
「冗談でも……僕は優しくしてほしい」
隣に座るタロの肩にもたれる。僕の方が大きくても、タロの包容力には敵わない。すっぽり包み込める小さな体なのに、僕の心を癒す力は僕以上。誰にでも。
「いつも優しくしてるつもりだけど?」
「甘えすぎかな」
「そんなことないよ」
タロも僕の頭に頭をもたせかける。仕方ないことでも、誰にでも優しくても。
特別、になりたいんだ。
「あのね、大体は決まってるんだ」
「どういうこと?」
「もちろん、ソンチャンのことは好きだよ。ソンチャンの求める答えとは違っても」
「……違うね」
「僕がみんなの前で平気でいられるかって話。そういうのってなんとなくわかるでしょ」
「わかるかな」
タロは本当におかしそうに笑った。わかるに決まってるでしょ、って。
「ソンチャンは特にさ、わかりやすいから」
「そう?」
「うん。真っ直ぐな人だから、見てればわかるよ。きっとみんなわかると思う。隠さなくてもいいけど、周りに気を遣われるのは嫌でしょ」
もっともな意見に頷くしかない。確かに僕は、タロが僕の恋人になったら、あからさまに嫉妬しそうだ。
「肯定はできないけど、否定もしたくない。表向きそういう感じでも、ソンチャンは平気でいられる?」
「平気……ではないけど、恋人になれるなら我慢する」
「みんなの前では平等だからね。特別扱いはお互いにしない。でも二人の時間はちゃんと作って、二人の時はお互いが特別な存在。それならどう?」
「……努力する」
「オッケー、なら決まりだ。僕もソンチャンのことが好きだよ。僕と付き合ってくれる?」
まさかの、タロからの告白に僕はもちろん頷いた。頷くばかりか、二人きりなのをいいことにしっかり抱きしめて喜びを噛み締めた。
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