◆◆◆◆◆
「多川さん。堺さんからお電話が入ってます」
金髪を後ろに束ねた男が、多川に電話の子機を渡した。
「……取り込み中だと言え!」
多川はソファに手をつかせた青年の片足を持ち上げながら言った。
「もう……!もう、許してください、多川さん……!」
「なんだ、もう限界か?」
多川が笑いながら吸っていた煙草を男の綺麗な背中に押し付ける。
「ああッ!」
「俺から逃げようする度胸があれば、こんなの屁でもないだろ?ああ!?」
言いながら強く腰を打ち付ける。
「ああ……!!助けてください…!もう二度と、逃げたいなん、て、思いませんから…!!」
男が涙を流しながら、悲鳴のような声を出す。
金髪の青年は、その悲惨な有様を見て苦笑いをすると、子機を持って部屋を出た。
「逃げたいと思うななんて誰が言った?」
多川は笑いながら足を下ろすと、今度は腰を高く引き上げ、腹を裏側から抉るように挿し込んだ。
「逃げようと思わなきゃいいんだよ…!そこを履き違えるな…!!」
「ああッ!あああ…!ああ、あああああああ!」
悲鳴が防音のドアを突き破って外に漏れだす。
と、金髪の青年が、苦笑しながら戻ってきた。
「すみません、多川さん」
「なんだ。後にしろっていったはずだぞ…!お前と堺、仲良く並ばせて犯してやろうか?」
目を見開いて言うと、金髪の青年は頭を掻きながら言った。
「そう言ったんですけど……。大事な用だからって」
「――――」
多川は子機を睨むと、それをぶんどった。
「―――俺だ。………ああ!?ーーーーーーー」
「…………?」
金髪の青年が、言葉の止まった多川を見つめる。
「―――?」
腰を押さえつけられたままの青年も、動きの止まった多川を振り返る。
「……そうか。よくやった。今すぐ画像を送れ」
言うと多川は子機を金髪の青年に投げつけ、胸ポケットから自分の携帯電話を取り出した。
「…………」
青年が振り返って多川の顔を見るが、彼は無表情で携帯電話を眺めている。
ピロリン。
通知音が鳴った。
多川が挿入したままの腰から手を離し、両手で携帯電話を操作する。
「――――」
やがて、その指も止まった。
「……ククク……。クク。ククククク……」
沸々と湧き上がるマグマのような笑い声が、応接室に響き渡る。
「クハハハハハハ!!ハハハハッ!!」
大口を上げて狂ったように笑いだしたその異様な形相に、青年が逃げようとすると、多川はその腰を携帯電話を持つ手とは逆の手でぐいと引き寄せた。
「アアッ!!」
痛みに男が喘ぐ。
その掴まれた腰から、爪に沿って血が滴り落ちる。
「ほらな!ビンゴだ!!ざまーみろ!」
多川は叫ぶとリダイアルを押し、境にもう一度電話をかけた。
「でかした!!さっさと帰って来い!!今日は高い肉を食わせてやる!」
嬉しそうに笑いながら続ける。
「あ、待て!待て待て待て待て待て待て待て!!土産にサクランボを忘れるなよ!」
言うとすぐさま通話を切り、興奮をそのままに、青年に腰を打ち付け始めた。
「アアっ!ハアッ!!アアアッ!ああ!」
再び、青年の悲鳴が響き渡る。
「……奈良崎さんへの最高の放免祝いだ!!」
多川はもう一度携帯電話を見つめると、にやりと笑った。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!