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死ねた
isrn
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「りんー」
「…んだよ」
「ニュース見た?」
「…?」
「見てねぇの?世間知らずだなー」
「うざ」
「今日世界滅亡するらいしいよー」
「は?」
いつの日かの青い監獄でのアンケート。
「地球最後の日に何をしますか?」
A.兄ちゃんとサッカーする。
俺にとっての目的は俺を裏切った兄貴をサッカーでブッ殺して、世界一になることだった。
なので俺はそう答えた。
負けても勝っても、泣いても笑ってもそれで終わりなら
最後に決着をつけて死んでみたいと俺は思っていた。
…なのに、最後の最後でこいつとサッカーするなんて思わなかった。
__
やたらと外が騒がしい
どこのバカが俺ん家の前で叫んでやがる…
殺すとまでは行かないが、そこそこの殺気は湧いていただろう。
「誰だ!……」
と玄関から飛び出したとき、見慣れた顔が見えた
「なにしてんだテメェ」
「あ!凛!」
とバカデケェ声で叫ぶこいつは、青い監獄時代での俺と一緒に最良と呼ばれたやつ、潔世一だった。
「うるせーよお前近所迷惑だわ」
「俺に苦情来んだよ殺すぞ」「いや、大丈夫だよ」
何言ってんだこいつ。ダメなもんはダメなんだよ。
「何が大丈夫なんだよボケ殺すぞまじで」
「ボロクソ言うじゃん、…まぁいいから、ボケてんでしょ?珍しいな!凛にしては」
「…は?まじで何言ってんだお前…」
「いいから!今から1on1でサッカーできる?」
「別に予定はねぇ」
「でも急すぎんだよ。うぜー」
「ごめんごめん、でも急いでたからさ」
「じゃあ、俺と1on1してくれますか!」
「ん」
_
「ふー、ふー…あー、」
「やっぱ凛つえーなー!」
「チッ…引き分けかよ」
少しの沈黙があって、潔が口を開いた。
「りんー」
「…んだよ」
「ニュース見た?」
「…?」
「見てねぇの?世間知らずだなー」
「うっざ」
「今日世界滅亡するらいしいよー」
「は?」
「え…本気で知らなかったの?」
「…」
「マジか…てか俺でよかったの、最後過ごすの…」
「…べつに。」
「…死ぬんだよ?」
「ん」
「家族と過ごすとかじゃなくていいの?」
「逆にお前は?」
「いや俺は、凛の家に来る前に家族と過ごした」
「なんで俺ん家きたんだよお前」
「いや?だって俺、最後凛とサッカーして過ごしたかったし」
「へー。バカかよ」
「ひど!てか、だから凛は俺でよかったのかよ!」
「だからいいっつってんだよバカが」
「…やったぁ」
「俺、凛に言わなきゃいけないことがあってさ」
「ん」
「好きなんだよね凛のこと」
「…??」
「おれ?…??」
「いや、その恋愛的にね」
「凛のことすきなんだよね」
「…へえ」
「引いた?」
「俺も、かもな」
「…え!!?」
「ちょ、まじで」
「じゃなきゃ来ねえだろ」
「…めっちゃ、素直じゃね?」
「最後だからな」
「そうかぁー…」
「はぁー…凛、ちゅうしていい?」
「…んー」
「ちょっと悩むなよ」
「最後だからいいぞ」
「最後だからって何回言った?」
「……2回」
「…あ!凛!!こっち向け!!」
と急に潔が叫ぶ。
「え。なんだ」
「よ…」
ちゅ、と唇が重なった。
「…許可取れよ」
「いいでしょ、両思いなんだから」
「ん」
「はあー…りんー、俺今夢見てるのかなー」
「夢じゃねぇよ」
ギュ、と潔の頬をつねる。
「いでー、なぁー…凛、ハグするね、いいよね」
「嫌ではない」
「何その回答」
「あー凛あったか、ほんとに好きだ」
「きめー」
「とか言っといてお前も抱き返してんじゃねぇか」
「てか草チクチクする」
「たしかに」
「なー凛、俺のこと好き?」
「まぁ」
「なんだそれ」
「俺たち、付き合ってるの?」
「そうだろ、両思いだし」
「んー、うれしっ」
「何言ってんだ」
「あと何分で滅亡?」
「あと4時間ある」
「…思ったよりある?」
「ねーよ」
「あのな、凛… 最後、ここで二人だけで過ごしたい」
「…ん」
「やった。 …あと、なんふん?」
「のこり3時間59分」
「マジか!」
「…あ、あれ。」
「…あれが、ぶつかって死ぬのか」
「そ、綺麗だな。凛」
「あー…あと何分かな…」
「…あと、にふん」
「…まじ?」
「…りん」
「ん」
「…おれのこと、すき?」
「…ん」
「ん、じゃなくて…俺は、世界一好き」
「…おれもすき」
「世界一?」
「せかいいち」
「…ふふ、そっか…」
「……」
「世一」
俺はぽつりと呟いた。
「…え、っ…!り」
「ん…」
この世界に、二人きりだけで
冷たいキスを落として俺らは星になった。