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俺は伊東 礼央。
実は俺は霊能力者だ。家族や親族で霊能力を持っている人はいないのだが、なぜか俺だけ霊能力を持っている。
「礼央!なにしてるの、はやく準備しなさい!」
車に荷物を積み終わった母に呼ばれる。
「今行く!」
そう言って霊力を刃物のようにして飛ばし、襲ってきたあやかしを切り裂き、黒いもやに変えた。
自分で言うのもなんだが、俺は結構強いと思う。
特に師匠がいるとかはないのだが、前にたまたま陰陽師っぽいのをみたことがある。
正直超弱かった。その陰陽師もあやかしも。
それに今まで負けたことはない。多少傷つくこともあったが、ほとんどのあやかしが俺のバリアを破ることは出来ない。
まぁ、明らかにヤバいやつや、神社とかに時々いる化け物みたいのは戦ったことはないが…
家族には俺が霊能力者だということは言っていない。だって変だって思われるだろ?だから、俺は小さい頃からこの力を秘密にしてきた。
今は、俺たち家族は東京に住んでいたのだが、都会の空気はあまり良くなく、喘息持ちの妹の音のために田舎に引っ越すところだ。
父は自営業をしていたが、今回引っ越すにあたって会社を売り、かなりの資金と時間を用意したみたいだ。
「ゴホッ!ゴホッ!ゼー、ゼー、
シュー
ごめんね。私のせいでみんな引っ越すことになって」
咳をして、吸引器を吸った後、そう言って音が俺に謝ってくる。
「気にするな、俺も田舎に引っ越したいと思っていたところだ。」
これは本音だ。都会のあやかしはタチが悪いやつが多いし、数も多い。
都会は暗い感情が渦巻いているからあやかしもタチが悪くなるし、数も多くなるのだ。
もう都会のあやかしにはうんざりしていたところだ。
俺はその引っ越す先の高校に通うことになる。
もちろん地元を離れることや友達と会えなくなることの寂しさはあるが、結構楽しみにしている。
どんな人がいるのか、田舎にはどんなあやかしがいるのか、楽しみなのだ。
そして、妹の調子が少しでも良くなればいいと思っている。
引っ越し先に着いた。
周りは山と畑だらけだ。少し行ったところには大きな沼もあるらしい。
結構大きな二階建ての庭付きの家だ。
お父さんかなり良い家を買ったな。
父を見るとすこし誇らしげだ。父も前々から田舎に引っ越したいと言っていて、自分の休養も兼ねているのだろう。
「まぁ!お父さんこんなすごい家を買ったの?」
「あぁ、知り合いのつてで安く買えたんだ。中も広いぞー。」
その日は家具を運んだり、物をしまったりと引っ越しで大忙しであっという間に時間が過ぎてもう日が沈みかけている。
「俺ちょっと散歩行ってくるね。」
ご飯を食べて俺はすぐに周りにどんなあやかしがいるのか気になり、外に繰り出した。
とりあえず、近くの山を登ってみようと思う。
「気をつけろよ!東京と違って夜は真っ暗だし、獣も出るからな!」
「わかってるよー、少し出かけるだけだってー。」
父が心配してくるが、正直、獣で俺がやられることはまずないだろう。
「へー、穏やかなやつばっかだな。いいねぇ。」
近くの山に登りながら、あやかしを見ていくが、ほとんどのあやかしがこちらを見てくるだけで襲ってくるやつはいないし、寝てる奴もおおい。
「おい、お前!我らが視えてるのか?」
着物をきた一つ目のあやかしが出てきてこちらに尋ねてきた。
「あぁ、見えてるぞ。」
「ほう。珍しいなぁ。だが、もうすぐ日が落ちきって、周りが真っ暗になる。人の子はもう帰れ。危ないぞ。」
「大丈夫だ。こう見えても俺結構つよいから。」
「ふふふ。面白いやつだな。山頂まで行くのはやめておけ。近頃山頂で修行している祓い屋がいるから危ない。」
「へー、そんな奴いるんだ。」
おれは興味津々で聞いていた。顔も興味津々の顔で聞いていたのだろうか。あやかしも呆れた顔をしていた。
「忠告はしたからな!怪我しても知らんぞ。」
そう言うと一つ目のあやかしは去っていった。
わざわざ声をかけて忠告してくれるなんて優しいあやかしだな。
こう言うやつが居るからあやかしは嫌いじゃないんだ。嫌な奴とかうざいやつもいるけど。
山頂かぁ、そこまで行くつもりはなかったけど、面白そうだから行ってみるか!
山頂についた。
そこではジャージをきた女の子が刀を振り回していた。
いや、お爺ちゃん想像してたんだけど!!つーか、あれ本物の刀か!?さすがに模造刀だよな…
でも、めっちゃかわいいやん!
これは声を掛けるしかない!
そう思い近づいていくと、
「誰!?」
気づかれたみたいだ。
「いや、山頂に祓い屋がいるってあやかしが言ってて、面白そうだから見にきたんだよ。」
「あなた見えるの?」
「あぁ、もちろん。えーと、なんて言う名前なの?俺は今日引っ越してきた伊東礼央って言うんだ。」
「立花 琴巴。あなたは陰陽師なの?」
「いや、陰陽師じゃないよ。ただ単に他人より力があるだけさ。立花さんは陰陽師でここで修行してるの?」
「えぇ、そうよ。あなたはなんでここに?」
「俺は今日引っ越したばかりだから、どんなあやかしがいるのか見に来んだよ。ここは良いやつばかりだね。」
「そうね。でも、かなり強いやつもいるから気をつけなさい。」
「あはは!大丈夫!俺強いから!」
「へー。怪我しないようにね。」
そう言うと修行に戻ろうとする。
「え、もっと話そうよ。俺、同い年くらいの霊能力者と会うの初めてなんだ!」
「はぁ、なんかあやかしで困ったことでもあるの?」
そういうと立花さんはいやいや刀を鞘に収めてこちらに向き直った。
「いや、なんもないよ。俺強いし。ねね!その刀本物なの?」
「本物だよ。」
「え!銃刀法違反じゃないの?」
「ちゃんと許可取ってあるから大丈夫。」
「許可とかおりるんだ…」
「陰陽師は特別なの。国も抱え込んでいる陰陽師もいるけど、それだけじゃ全然対応できないから、国に武器の申請した陰陽師は大体許可おりるわ。」
「そうなんだ…」
それから少し話をして、
「ねぇ、そろそろ修行に戻りたいんだけど。」
「あ!じゃあ、俺も一緒にするよ!修行とかしたことないけど、陰陽師の修行ってなにするの?」
「えぇ?じゃ、じゃあ、組み手でもする?」
「おぉ!する!する!」
そういうとお互いに向かい合った。さすがに刀は使わないみたいだ。
「じゃあ、よーい始め!」
「かかってこい!」
「じゃあ、縛!」
そういうと札をこちらに飛ばしてきた。
「おぉ!陰陽師っぽい!」
しかし、札は俺のバリアを通過できず、消え去った。
「へー!本当に術が使えるんだ!」
「もちろん!じゃあ、俺の番ね!」
さすがに霊力の斬撃は洒落にならないので、霊力の塊を無数に飛ばした。
「えっ、」
立花さんは避けられず、もろに食らった。
「ごめん!大丈夫!?」
幸い力を抜いていたから怪我などはなさそうだ。
「あなた何者?」
「ただの少し強い高校生だよ!それよりごめんね、もっと力を抜けばよかった!」
「っ!だ、大丈夫。」
「あははー、ほんとにごめんねー。おれ人間相手したことないからわかんなくて。陰陽師っていうからもうちょっと強く打とうと思ったけど、力入れてなくてよかった!」
「う、うん。ありがとね。私今日は帰るね。」
「あっ、待って!メアド教えてよ!」
聞こえなかったのか、大きなフクロウを出して、フクロウの足を掴み、飛び去っていってしまった。
「式神ってやつかな?すごい。陰陽師ぽいなぁ。立花さんまた会えるかな?」
今日はもう帰ることにした。
あー、これから面白くなりそうだ!!