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リクエスト👻🔪×🐙🌟
死パロ、バッドエンド入ります
ご本人様には一切関係ありません。
フル捏造です。本編伏せ字なし。
中編
『🐙🌟』「それ以外」
昼から酒を煽っていた赤城のスマホに、珍しく小柳から着信が来た。
「あ、もしもしロウきゅん?どしたの?」
“ウェン…助けて…”
「ロウ…くん…?」
ただならぬ雰囲気に、赤城はふざけるのを止めた。
“星導が目覚ました”
「良かったじゃん、軽傷だったんでしょ…?」
“体はな…っ”
「ロウくん?泣いてるの?」
“ウェンごめん…っ来て…!早く”っ…”
「ロウくん?!分かった!すぐ行くからね!」
赤城は飲みかけの酒も片付けず、西の方へ直行した。
「ロウくんどうしたの?!」
「ウェン……」
小柳はベッドの上で俯いていた。顔には乾いた涙の跡が残っている、絶望に満ちた彼の表情を目の当たりにし、赤城にただならぬ緊張感が走る。兎に角この余りに辛そうな顔をもう見たくなくて、体が動くままに彼を抱き締めた。
「あいつ…記憶なくしたって…俺のことも、同僚のこともなんも覚えてないって」
「……ぇ?………え?!」
「うるせ…」
「え…それは、カゲツくんと伊波くんは?」
「もう知ってるよ、今頃泣いてんじゃないかな」
「えぇ…記憶戻りそうなの?」
「どっちかって言ったら戻んなそうかも」
「そんな…」
「…そろそろ離して」
「あ、ごめん」
赤城は抱き締めていた腕を解く。
「でも俺は諦めないから、絶っ対ぇ思い出させる、お前も手伝え」
「てっ、手伝うよ!手伝うに決まってるでしょ!」
だって小柳に愛されたことを忘れて、自分は飄々と生きるなんて狡いじゃないか。
「よお、星導」
『小柳くん、おはようございます』
「昨日は怒鳴ってごめんな」
『いえ、小柳くんにとって俺が大事な人だったんだなって分かったので』
「はは、どーだろうな」
『カゲツもライもわんわん泣いてましたよ、俺って結構人気者だったんですね』
「どうだか」
『………ねぇ、小柳くんのことも”ロウ”って呼んでいいですか?』
「……いや、今のままがいい、記憶喪失する前もそうだったから」
話上手な星導は、一月もすれば同僚の間にも馴染み、ヒーロー活動も再開した。しかし、いくら配信を見せても、共闘しようとも、星導の記憶が戻ることはない。小柳の焦りは日に日に募っていった。
「星導、ウェンが配信してる」
『一緒に観ましょうよ』
“~~!”
“~~~ww!”
「ははっw 」
小柳が笑っていると、星導も安心して笑えた。本人は全くの無自覚であったが、 星導は記憶を失っていながら、再び小柳を愛したのだ。
『小柳くん、』
「なに?」
『……いや』
「なに?なんか思い出した?!」
『いや?全く思い出せないですね』
「なんだよぉ~」
前の俺の方が、好きでしたか?
聞けるはずがない。
「じゃあな、なんかあったら連絡しろよ」
『はい』
小柳が店を出ると、星導はソファに腰掛けた。
『(鍵…忘れ物?)』
慌てて店を飛び出すと、赤城が小柳を迎えに来ていた。赤城と話す彼は、屈託のない、幼さを感じる笑顔。星導が一番見たかった表情。彼等を見ていると、星導はこう思う他なかった。
『(記憶がない俺なんて、邪魔なだけだったんだ)』
「星導?どうした?」
『鍵、貰っちゃいますよ』
次の任務がある日、来週の火曜までに思い出せなかったら、小柳くんには諦めて貰おう。
任務までの5日間は、星導にとって想像を絶する程辛いものだった。考えれば考える程、脳内の宇宙が弾け、縺れ、散らかってゆく。その度に少しずつ、何もかも分からなくなっていった。
『(今日小柳くんと何したんだっけ…あれ?小柳くんの声ってどんなだっけ…髪の白い人が小柳くんだっけ…?)』
結局、任務当日の朝までそんな調子だった。
『(リミットまであと30分…ごめんね小柳くん……)』
現場は西の国の中央、町外れと比べると随分栄えていた。
「今回雑魚なんやろ?ドローン要るん?」
「こういうのは偵察が大事なんだよ」
『お、そいつじゃないですか?』
「あ、ほんとだ!よーし!あの搭の7階にいるぞ!」
「なんや、ちっちゃいネズミやん、よっしゃ」
叢雲が先陣を切って搭に飛び込む。
すると、その鼠らしき小さな獣は、巨大な牛頭の怪物へと姿を変えた。
「まじかぁ…」
『長くなりそうですね』
「だる…」
これが最後の任務、彼等との共闘。そう思うと驚くほど体が回った。