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窓から差し込む日差し。教室の中のざわめき。
どれも僕からしたら眩しすぎるものだった。
いつものホームルーム、いつものやり取り。
これも全て、全てが眩しい。
どうして皆と一緒の様に過ごせないのだろう。
その疑問を常日頃胸に、今日も授業をサボる。
(そろそろやばいかぁ……もうすぐ補習だな。)
よく見慣れている自室で、ふとそう思った。
そのままスマホを見てぼーっとしていたら、
窓が赤い光に満たされていた。その時には、
もう夕方だった事に気づく。
これが教室の放課後だったらどんなに良かった事か。少々絶望したような気になった。
「……文明の利器ってこわ〜い…」
そうやって怠惰にダラダラし続け、
やっと立ち上がり、立ちくらみを起こした瞬間、部屋をノックされた。
「おーい、ニノマエ君、居る〜?」
ドア越しから響く声。
彼女はきっと、同級生のミコトさんだ。
僕は間を置いた後、喉から声を振り絞って、
返事をした。
「はァッ…はいッ…!!居ますけどぉ…!!」
我ながら酷い返事だ。冷や汗が止まらなくなる。あまりにも緊張をし過ぎて、部屋の中心で反射的に留まってしまった。
「学校からさ、プリントが大量に配られてたから届けに来たんだ〜〜。良ければ入っても良いかな?」
「えっ…えぇっ…!!どうぞ…!!」
そう言った後、ドアノブをゆっくりと回され、扉はガチャッと音を立てた。正直身も蓋もない。
「久しぶりだね。また会うの。夏休みの終業式以来?」
そう言って、彼女はプリントを僕の部屋の机に丁寧に置く。
その時に、彼女の赤くふわっとした髪が、
夕日によって更に赤く綺麗に照らされた。
「そー…ですね、ぁりがとッ…ございます……」
僕はこの、生きていた中で本当に美しい光景を直視出来ず、目を逸らし、
曖昧で薄い返事になってしまった。
「…どーしたの??もしかして、照れてたり…する??笑笑」
彼女は嘲笑混じりの半笑いになり、
僕の方をしっかりと見た。
しかし、その視線はゆっくりと獲物を
舐めるような視線で、鋭く突き刺すような、
そんな視線だった。その後ニッと笑いながら、
「それじゃっ、私は帰るから。良かったら明日学校来たら?…んー、まぁ、来れたらで良いってさ。せんせー言ってたけど。……じゃあねっ」
バタンと、またドアが音を立てる。
僕はその閉められたドアを、見上げながら
ずっと見つめることしかできなかった。
行くか、行かないか。とても悩ましい選択だ。
皆と一緒にやれる自信も無いが、
ずっと憧れだった。
何よりも、あの彼女のミステリアさに、
僕は見蕩れてしまったように思う。
あの麗しさとちょっとした好奇心から、
僕は意地でも行くことを決意した___