重音テト妄想小説
これはオレがボカロPになった理由の話だ。
毎年夏休み、ソイツはやって来る。
「よぉ、少年。元気にしてるか?」
ニコッ、と笑いながら、何事もないかのようにこちらを見てくる。
「まあ…元気だけど」
正直めんどくさいな、と思いながらボクは答えた。
「よかった、もしバグでも起きたらドクターを呼ぶんだな。」
バグって…。
テト姉ちゃんは、夏休みの親戚の集まりにくる。
会う度に変なことを言うので、あまり良い印象は無い。
テト姉ちゃん(31)は、引きこもりのようだった。職にも就いていない、ヒキニート。
「なあ、少年。刺激は足りてるか?」
「最近刺激無いんだよな~。」
「少年、イイもん見せてやる。 」
そう言うと、カタカタとタイピングして見せてくれたのは、ある匿名掲示板だった。
「何これ。」
そこでボクが見たのはしょうもないモノだった。
「面白いだろ?」
自信満々に言うテト姉に、思わず苦笑いをする。
「何々…『架空のボーカロイド作ってニコ厨釣ろうぜw』…?そんな事してどうなるってんだ…」
そう、本当にしょうもない。そこには…テト姉ちゃんの名前があった。
「君は実に馬鹿だなぁ。少年、ボクは此処で生まれたんだぜ?」
それから何年か経った。オレは薄暗い部屋でパソコンをいじる。
パソコンの中のキメラは言った。
「少年も大きくなったなぁ。今ではこうやって…」
“あ~♪”と歌い出す、顔も変わらない姉ちゃんの姿がそこにあった。
コメント
1件
テトちゃん良いよね〜!!