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7月某日。夏の暑さに負けじと鳴く蝉の声が響いていた。俺の家に1人のお客がきた。「お邪魔しまーす」「いらっしゃーい!」「いやー、gっくん家来るのも久々ですね」見た目も名前も全く同じ男子高校生、knmctuya。今世の彼は本当に不老不死になっている。俺はあの日から死ぬことなくずっと生き続けている。俺達は配信者として生活していて、今日もコラボのために俺の家に集まった。
「あれ、これ向日葵ですか? 」「そうっスよ!花屋で売ってて綺麗だったから買っちゃったんスよ!」 君は、覚えていないかもしれない。君が俺に似てると言ってくれた向日葵の花。未練がましく毎年飾っている。
彼は向日葵を見て、こう言った。
「gっくん」「んー?」「今夜、満月らしいし月見ようよ。…あの日みたいに」
あの日?今まで一緒に月を見た事なんて……そう思ったが、ふと彼が死ぬ前の日を思い出した。
「え、あの日って……まさか」
「今世では一緒に罪人になるんでしょ?記憶を持ったまま生まれ変わった僕と、人の道を外れて生き続けてしまった君なら、立派な罪人ですよ」
彼を必死に抱きしめた。力が籠ってしまって痛かったかもしれない。でも、今の俺にはそんなことを気にする余裕はなかった。
「tyさんっ、tyさん…っ」
「…君はずっと泣き虫だね」そう言って彼は優しく俺の頭を撫でた。
今夜、あの日伝えられなかった言葉を君に伝えよう。不格好かもしれない、けど精一杯思いを伝えるから聞いてね。
俺は君のことを────愛してる。 (完)