この作品はいかがでしたか?
4
この作品はいかがでしたか?
4
『るぅとくんは愛されてるね』
『るぅとくんのお家は仲がいいね』
小さな頃からずっと言われてきた事。
本当はそんなことないのに。
外面だけはいい親たちは、
家で僕を見てくれることなんてない。
空気みたいなものだ。
僕が痩せ細っていることに違和感を持たない周りの奴らもおかしいけれど。
そうだ。
この世界はおかしいんだ。
こんなおかしい世界から消えたいけど、
死にたいけど、
臆病な僕には出来なくて。
『お前なんかが愛されるわけないだろ』
『生きる価値なんてない』
昔誰かに言われた言葉を自分に言い続けている。
あお「るぅとくんっ、!」
「おはよう」
おはようと微笑む君に僕も「おはよう」と返す。
好きな人…ころちゃんと居る時間だけが人生で楽しいと思える時間なのだ。
あお「ちゃんとご飯食べた?」
きい「ころちゃんがくれたの食べたよ、」
あお「ならよかったっ!」
「お弁当作ってきたからお昼一緒に食べようね」
お弁当を2つ見せながらころちゃんは言う。
ころちゃんは僕がろくにご飯を食べれていないという事に気付いてくれただけではなく、
毎日お弁当を作ってくれて
朝晩のご飯もくれるのだ。
僕がなるべく家に居たくないという事も察してくれていて
よくころちゃんの家に居させてくれる。
ころちゃんと1秒でも長く一緒に居られるのならばこの恋は叶わなくていい。
あお「今日も一緒に帰ろうねっ!」
きい「うん、!」
あお「それでなんですが…」
もしかして、と嫌な予感がする。
あお「課題教えてっ!」
…やはりそうだったか。
ころちゃんには借りが大量にあるから全然教えるのだけれど。
ころちゃんの家でやろうとしてもころちゃんは完全にOFFモ―ドになってしまいなかなか出来ないのだ。
きい「いいよ、」
あお「ありがと~っ!」
安心したように笑うころちゃんの顔を見て
つい頬が緩んでしまう。
こうやって僕は毎日ころちゃんに救われる。
あお「帰り道に海が見えるのっていいよね、」
きい「ね~、」
僕らの住んでいる所は近くに海がある。
ここは結構な田舎だ。
そのくせに夏は海が綺麗だからと沢山の人が来ているが
もうすぐ冬となるこの季節には海に人が居るはずがなくがらんとしている。
ここら辺の地域はかなり寒いため今の時期に海に入ると下手すれば死んでしまう。
あお「ねぇねぇっ」
きい「へ、!?」
少しぼ~っとしていたため声をかけられ思わずびっくりしてしまう。
あお「びっくりしないでよ~、w」
きい「ご、ごめんっ」
「それで…」
「どうしたの?」
あお「いや~るぅとくんって好きな子居るのかな~って」
きい「…」
「へっ、!?」
予想外な質問に顔を赤くしてしまう。
あお「…」
「いるんだぁ、w」
にやぁと新しい玩具を見つけたとでも言うように笑う。
きい「居ないよっ!」
顔を横に振り否定するが「そんな赤面して言われてもなぁ」と笑いながら言われてしまう。
あお「誰かなぁ、?」
ずいっところちゃんの顔がいきなり近くに来て更に顔が赤くなってしまい顔を下に向ける。
あお「言えよ~っ、w」
きい「だから居ないってっ!」
好きが渋滞している今の状況を説明しよう。
ころちゃんが上目遣いでにやにやしながら下から僕の顔を覗き込んでいるのだ。
好きが渋滞しすぎている。
これ以上聞かれていると答えてしまいそうなので話題を変えようとするがなかなか良いのが見つからない。
きい「…、」
「ころちゃんはさ、」
「好きな人居るの?」
あお「僕?」
「僕はねぇ…」
「居るよ」
「好きな人」
きい「っ、」
「そっか…」
やっぱりか、と何故か納得してしまう。
あお「当ててみてっ!」
きい「ぇ…」
そんなこと言われても当てれる訳ない。
そもそも当てたくないのだ。
きい「んっと…」
「仲良い1組のさとみさん?」
あお「ぶっぷ~っ!」
きい「じゃあ隣の席の莉犬さん?」
あお「ちがう、!」
きい「ん~…」
ころちゃんの仲が良さそうな人は大体あげた気がするのだがその人達以外だとすると僕には当てられない…。
あお「正解言ってあげようか、?」
本音を言えば言って欲しくない。
けれどどうしても興味が湧いてしまう。
きい「うん…、」
あお「じゃあ教えちゃおっかな~」
好きな人を知ってしまったら、
僕はきっところちゃんの相談相手になってしまうのだろう。
惚気けていたり、
落ち込んでいたり、
僕当てではない恋愛感情に振り回されているころちゃんを目の前で見て、
その人と上手くいくようにアドバイスをしなくてはいけなくなるのだ。
それに僕は耐えられるだろうか…。
あお「僕の好きな人はね」
「るぅとくん…だよ、」
へ、っと間抜けな声が出てしまう。
目の前の彼は今、
僕が好きだと言ったのだろうか。
あお「…」
「無言なの1番やめて、?」
顔を赤くしながらもまっすぐこちらを見るころちゃんの声ではっとする。
きい「ぇ、」
「あ…ごめん…、?」
くす、ところちゃんは笑いながら言う。
あお「…で、」
「るぅとくんはどうなんですか?」
きい「ぁ、えと…」
そもそも、
ほんとにころちゃんは僕のことが好きなのかななんて、
そう考えるのはきっと親のせい。
親のせいだ。
だからきっところちゃんはほんとに僕を好きでいてくれてるはず。
だからきっと、
僕も好きって言ってもいいはず。
1秒でも長く君と居たいって、
欲張っていいはず…。
きい「僕も…」
「ころちゃんの事好きだよ…」
意を決して出した言葉は、
長年募っていた想いを
あたりにも簡単にしすぎたかもしれないし幼稚すぎたかもしれない。
顔をころちゃんよりも真っ赤にして。
安心したような、やっぱりなとでも言うように笑う彼は
一体いつまで僕を好きでいてくれるのだろう。
2458文字、!?
丁度いいし区切ろうかなと思ってさ、
長すぎてもう連載でもよかったのでは…。
てことで長すぎるんで第一章終わりということで(?
また今度第二章出します(?
コメント
5件
最高じゃん☆
次回、時間経つの早くね…?