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魔界。
人間が住む人間界とは違い、草木がなく廃れている。
そこには魔族が住み 一応“王”という存在がいる。
「いやー、平和ですね 魔神王様」
王の側近であろう白色の服を着た魔族が黒い城の窓から 魔族同士のケンカを見てそう言う。
「神をつけるな、魔王でよいだろう」
自分に見合った大きい豪華な椅子に座り、
とても退屈そうな魔王。
“魔王”に”神”をつけるなど 皮肉かと愚痴を
言っている。
「いいじゃないですか。カッコいいし、現に魔神様がいますし」
白色魔族は窓の外を見ながら陽気な笑顔で答える。
「あれは 人間が作り出した妄想だ。
そいつは、ブラックドラゴンでしかなかっただろう」
大昔、悪に染まったドラゴンが人間などを無差別に襲った。
勇者と呼ばれた人間達が戦い抜いてドラゴンの首を切った。
数万年後、人間界では神話とされ、
ドラゴンは魔神と言われるようになったという話。寿命が短い人間は作り話だと言っていたようだが、その被害を受けた魔族が今 魔界で暮らしているためその話は事実なのだろう。
「…あ」
そんなことを話していると、外でケンカしていた魔族の一人が 突然現れた魔法陣により吸い込まれて 消えた。
「召喚か」
「はぁ…そのようですね」
魔界に住む魔族にとって、召喚には憧れる者が多い。
魔族は好奇心旺盛で、強いものに戦いを挑むことが好きだ。実際、魔王も一日に何度も魔族に挑まれては一発で勝ち、追い払っている。
召喚は、する方も される方も人間や魔族とは限らない。
だが、召喚魔法は他種族しか召喚できないため種族も偏る。
「また 魔族が召喚されたのか」
「魔族は召喚魔法と相性抜群で扱いやすいですからね」
召喚魔法は、召喚する方の魔力量が召喚される方より多くなければならない。
魔族は弱肉強食。
魔族は自分より強い者に従いたいという本能と欲もある。
だから、魔族はとくに召喚されることを望むのだ。
(…我には程遠い夢に過ぎん)
魔王でも召喚されたいとは 思うものの魔王以上に強い者はあまりいないだろう。
居たとしても、その者がわざわざ召喚魔法を使うとは思わなかった。
綺麗な机の上にある分厚い本をとり、続きを読もうとする魔王。
「………!?」
突如、魔王の頭上に突然魔法陣が現れた。
召喚用の赤色の魔方陣。
召喚しようとする者がいるらしい。
「…な!? なんで僕じゃないんですか!? 何で
僕より先に魔神王様が召喚されるんですか ! 」
側近が、魔法陣を見るなり驚き 嫉妬狂っているが顔は本気ではなさそうだ。
魔王とて、混乱している。
もし、何かの手違いや誤作動であれば今すぐに対処しなければならないが、そうでなかった場合 念願の召喚を手放してしまう。
(…迷うことなどあるものか )
魔王は、そのまま赤い魔法陣に吸い込まれて
いったのだった。