「僕、もう辞めたい」
突然元貴がそんなことを言い出した
「は?なんで?」
答えはわかっているのに僕はついつい聞いてしまう
「もう、辛い。期待されるのが怖い」
そう泣きながら元貴が言う
どうして?これまでは一緒に乗り越えてきたじゃないか
「僕は元貴の意見を尊重する…」
涼ちゃんが今にも泣きそうな顔で言った
僕は正直に言ったらまだ続けて欲しかった
元貴はすごい才能を持っている。そしてそれをまだ出しきれていない感じがする
勿体ない気がする
「もうちょっとだけ頑張ろうよ…」
気づけば僕はそう口にしていた
「もう十分頑張ったよ」
「だって、元貴はもっとすごい才能がある気がするのに。それがみんなに知られないままいなくなるのはもったいないんじゃないかって思っちゃって…」
「もう無理。僕はもう辞める」
「でも…」
「でもでもうるさい!もう決めたんだから口出ししないで」
「なんだよその言い方…!!」
「そっちだって」
「あ?」
この後は大喧嘩になっちゃった
今になったら僕が悪いと思う
でも謝れなかった。プライドが許さなかった。だって僕は本当のことを言っただけだって思ってしまった
元貴の人生なんながら口出しすることはないのにね
「なんであんなこと言っちゃったんだろ」
Mrs. GREEN APPLEは解散した
元貴としては2人でも続けて欲しかったみたいだったが僕たちには無理だった
「僕は3人で笑い合いたかっただけのにな…」
解散して以来、元貴と連絡してない
涼ちゃんともしてない。なんだか気まずくて
最近僕は眠れていなかった。目をつぶったら自分を責めることしかできなくて怖くて眠れなかった
そのせいだろうか注意力が落ちてしまった
僕は赤信号に気が付かず車にしゃがれそうになってしまった
でも、誰かが僕の身代わりになって僕は助かった
目が覚めたのは病室だった
体に目立った外傷はなく、数日で退院できるそうだ
看護師さんの話によると誰かが僕を庇って代わりにしゃがれてしまったらしい
誰なのかと聞くと看護師さんは困った表情になってそのまま動かなくなってしまった
言っていいのか迷っているのだろう
「実は…言わないで欲しいと言われてまして…」
「でもお礼がしたいです 」
「…案内します」
どうやら連れていってくれるそうだ
僕は案内された病室の中にいる人を見て、動くことが出来なくなってしまった
…元貴だった
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